(※写真はイメージです/PIXTA)

ドナルド・トランプ米大統領を前面に出した政府の広告をめぐり、公費の使い方に批判が広がっていた問題で、トランプ氏は10月5日、今後放映する「愛国的な広告」などの費用を、自身または自身を支持する政治資金団体「MAGA Inc.」の資金で負担すると表明した。一方、すでに支出された分の返還は約束しておらず、トランプ氏は6日、返還を問われ「われわれが決める」と答えた。報道によると、民主党全国委員会(DNC)は7日、広告は違法だとして政権を提訴した。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

ホワイトハウスは「公共サービス広告」と説明

一方、ホワイトハウスは、今回の広告を政治的なキャンペーン広告ではなく、「公共サービス広告(public service announcements)」と位置付けているようだ。

 

過去の政権も、医療保険制度や新型コロナウイルスのワクチン接種などについて、公費を使った広告を実施してきたと説明している。

 

ホワイトハウスはまた、トランプ氏が今回の中間選挙の候補者ではなく、広告にも特定の候補者への投票を呼びかける内容はないとして、選挙広告ではないとの立場である。

 

しかし、共和党議員を含む超党派の議員や法律専門家からは、政府による通常の広報とは性質が異なるのではないかとの指摘が出ている。AP通信が取材した複数の法律専門家は、議会が承認した資金を「宣伝活動」に使うことを禁じる連邦法などに抵触するとみている。特定の政府プログラムの利用を促すものではない点が、過去の政府広報と異なるとの指摘もある。

発表後も放映続く、民主党は提訴

トランプ氏の発表後も、複数の広告は「米国政府が支払った」との表示のまま放映が続いた。報道によると、事情を知る人物は、発表前に発注された広告枠は今週で終了する見通しだと話している。

 

DNCは10月7日、契約された2000万ドルがまだ使い切られておらず、納税者の資金による広告が続いているとして、広告は政府支出と宣伝活動に関する連邦法に違反すると主張し、政権を提訴した。

「政府広報」と「政治的な宣伝」の境界は

今回の問題について、政府が政策や制度を国民に知らせる「政府広報」と、特定の政治家をPRする「政治的な宣伝」をどこで線引きするのかという点も論点になっている。

 

ただ、『トランプ劇場と超富裕層課税』の著書があり、米国の税務問題に詳しい奥村眞吾税理士は、今回の問題を必ずしも大きな論点とはみていない。

 

「これは大きな論点にはならないと思います。日本でも政府広報に高市首相や大臣が登場しますから」

政府が政策を説明する際に、政権を担う政治家が登場すること自体は、日本でも行われている。奥村氏はまた、米国でも州単位で見れば、今回と似たケースは少なくないと話す。

 

そのため、今回の広告についても、「政府広報」と「政治的な宣伝」の間に明確な線を引くことは容易ではないとする。

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