(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年7月に副首都法が成立し、いよいよ副首都の指定に向けた動きが本格化しています。法案の審議段階では「大阪ありき」ともみられていましたが、現在は北海道、愛知、大阪、福岡の4地域が有力候補となっています。大規模災害時の首都機能の代替という本来の目的に加え、国の機関や交通インフラの整備、地方の活性化にもつながる可能性があります。

大阪・名古屋には南海トラフ地震というリスク?

4地域には、それぞれ異なる特徴があります。

 

大阪は、大阪・関西万博の跡地に統合型リゾート(IR)が整備され、カジノの建設も予定されています。こうした大型プロジェクトとの相乗効果も期待できます。

 

名古屋については、リニア中央新幹線が開通すれば、東京からのアクセスが格段に向上すると考えられます。東京と名古屋の距離が時間的に縮まることで、企業活動や人の移動にも大きな影響を与える可能性があります。

 

一方で、大阪と名古屋には、南海トラフ地震による影響が想定されるというデメリットもあります。

 

副首都の大きな目的の一つが、大規模災害が発生した際の首都機能の代替です。そのため、候補地そのものが大規模災害によって同時に大きな被害を受ける可能性については、慎重に考える必要があります。

 

その点では、地理的に北に位置する札幌と西に位置する福岡は、大規模災害への備えという観点から、大阪や名古屋とは異なる強みがあります。

副首都は複数指定も?企業にも問われる拠点分散

副首都は1か所に限定されているわけではないため、複数の地域が指定される可能性もあります。

 

仮に複数の地域が副首都として整備されれば、首都機能を一つの地域に集中させるリスクをさらに抑えることができます。一方で、複数の地域に行政機能や交通インフラなどを整備するには、相応の財政負担も必要になります。

 

今後、どの地域が副首都に指定されるのかは、現時点では不透明です。10月2日に指定要件を定める政令等が公表され、パブリックコメントを経て、10月下旬には政令が公布される予定です。今後は、各候補地がどのような計画を示すのかが焦点となります。

 

企業にとっても、副首都の指定は無関係な話ではありません。

 

首都直下地震を含む大規模災害への備えとして、本社機能やデータセンター、重要な業務機能などをどこに置くのか。副首都構想が具体化すれば、企業側にも事業拠点の分散化を考えるきっかけを与えることになるでしょう。

 

副首都をめぐる議論は、単に「東京の次はどこか」という問題ではありません。災害に強い国土をどうつくるのか、そして東京に集中している経済や行政の機能をどのように分散させるのかという、日本の国土構造そのものに関わる問題です。

 

当初は大阪が中心になるとみられていた副首都構想ですが、現在は北海道、愛知、大阪、福岡の4地域に候補が絞られています。今後、どの地域が選ばれ、どのような副首都が整備されるのか、その行方が注目されます。

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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