徴税権を持たない武装組織はどう資金を調達するのか
一方、ガザ地区のハマス、イエメンの反政府勢力であるフーシ派、さらにはイエメンの対岸に位置するソマリアなどでは、事情が異なります。
これらの武装組織や反政府勢力は、国家と同じ意味での徴税権を持っているわけではありません。それにもかかわらず、武器の調達や兵士への報酬など、活動を維持するためには多額の資金が必要です。
では、徴税権を持たない武装組織は、どのように戦費を調達しているのでしょうか。
その方法は、大きく二つに分けることができます。
一つは、国家が徴収する税金の一部を流用したり、自らの勢力が支配する地域で、密貿易などに対して関税や消費税に類する金銭を徴収したりする方法です。
もう一つは、外国からの資金援助です。国外からの資金や物資の支援が、武装組織の活動を支えるケースがあります。
ソマリアでは、多くの難民が発生しているにもかかわらず、内戦が収束する兆しはみえていません。こうした地域では、通常の国家財政とは異なる資金の流れが存在していると考えられます。
紛争の背景にある「アングラ経済」
要するに、こうした地域では、通常の経済活動が十分に機能しない一方で、武器取引や密貿易などを含む「アングラ経済」が存在しています。
武器を自ら製造することが難しい武装組織や地域に対して、武器を供給して利益を得る「武器商人」の存在もあります。
紛争が続けば武器の需要が生まれます。そして、その需要に応じて武器を供給する側にも利益が生じます。つまり、武力衝突を維持する資金の流れを考える際には、戦闘を行う側だけでなく、その背後にある資金提供者や武器の供給者にも目を向ける必要があります。
これは、通常の税務とはかなり異なる世界です。しかし、違法な取引によって得られた資金を、合法的な取引による利益などに見せかけて表の経済に戻す「マネーロンダリング(資金洗浄)」については、国際的な条約や各国の国内法によって規制が進められています。
