委託費高騰で急増する「管理会社のリプレイス」
分譲マンションの購入時、デベロッパーの関連会社(グループ会社)がそのまま管理会社になるケースは多い。しかし、サービスのマンネリ化や値上げ要求などを機に、管理会社を乗り換える(リプレイスする)マンションは少なくない。
国土交通省の『令和5年度マンション総合調査』によると、実際に管理会社を変更したことがあるマンションは約25%。背景には清掃の不満やマネジメント不足があるが、近年は「委託費の高騰」をめぐるトラブルが急増している。
値上げ交渉が決裂すれば、管理会社が撤退してしまうこともある。そうなれば、朝のゴミ出し、漏水などの緊急対応、共用部の清掃などを理事会(住民)が自ら行わなければならなくなる。その恐怖から、不満を抱えつつも仕方なく契約を更新する組合もあとを絶たない。
管理会社の変更は、新しいパートナーを選ぶようなものだ。自分の身の丈に合った相手を慎重かつ丁寧に見極めなければ、組合員の合意形成など得られない。アンケート、住民説明会、仕様書の作成、公募、コンペ、総会決議、そして管理会社が変われば収納代行会社の変更手続きまで必要になる。
通常、理事会は1〜2ヵ月に1回しか開催されないため、半年から10ヵ月におよぶ気の遠くなるようなプロセスが必要となる。
しかも、プロである管理会社は、あの手この手でリプレイスを阻止しようと妨害してくる。決して侮ってはいけない相手なのだ。
都内200戸マンションの女性理事長が直面した「2割値上げ」の要求
都内の200戸規模のマンションで、今期就任したばかりの新米女性理事長・Aさんは、ある要求に直面した。
現行のデベロッパー系管理会社から「人件費の高騰」を理由に、管理委託費を約2割も値上げしてほしいと突きつけられたという。「この金額は妥当なのか?」という疑問を抱くAさんだが、その裏には別の本音があった。
「これまでの理事会は、ずっと管理会社にうまく操られていた気がするんです」
Aさんは管理会社への不信感を募らせており、値上げを機に、委託費に見合うサービスのクオリティを同業他社と比較検討したい、そしてデベロッパーから押しつけられた管理会社そのものを見直したいと強く望んでいた。
そこで、現行管理会社と同じ仕様で相見積もりを取り、公募を実施した。管理実績、価格、会社規模、担当者の本気度などを総合的に評価し、最終候補として3社を厳選。
ただし、組合員のなかには、現行の管理員や管理会社の対応に満足している人も少なくない。20年以上委託契約を継続してきた現行会社への一定の敬意もあり、「理事会や理事長が勝手に管理会社を決めた」と受け取られないよう配慮する必要があった。
そのため、厳選した3社に加え、現行管理会社も候補に含め、合計4社によるコンペを開催することになった。コンペの結果を踏まえ、総会に上程する1社を選定する方針である。

