令和9年4月から実施される食料品の消費税減税については、減税分の財源や地方消費税への影響など、さまざまな論点が指摘されています。なかでも気になるのが、2年後に税率を8%へ戻すことによる負担増です。減税終了後の「増税」をどう考えるべきなのでしょうか。高市早苗首相が示している「つなぎとしての食料品減税」と、その先に予定される給付付き税額控除との関係について、9月に『食料品消費税1% 減税×給付付き税額控除の真実』を出版した矢内一好氏が解説します。
2年後の8%への戻りは「増税」なのか
これらの批判を分類すると、消費税法の枠内で検討すべき事項と、税制全体で調整すべき事項に分けることができます。この分類によれば、税制全体で調整すべき事項は、上記の①と②です。
①については、令和9年度予算との関連もあることから、予算案が示されてから再検討することになるでしょう。
②については、8%への戻りは減税した時点ですでに織り込み済みとする見解と、実質的な増税と認識する立場に分かれることになります。この両者の見解について、どちらが正しいとすることは難しいでしょう。要するに、立場あるいは視点の違いがあるということです。
「つなぎ」としての食料品の消費税減税
ここで原点に戻ると、高市首相は、「食料品の消費税率を2年間ゼロにすることをつなぎとして、給付付き税額控除を導入する」と発言しています。
この「つなぎ」という文言について、政府案に不満を持つ論者からの言及はあまり見られません。
食料品の消費税減税は、広く消費者全般に影響します。一方、給付付き税額控除は、中低所得者が主な対象となります。税収への影響についても、前者は大きく、後者は若干の減少にとどまるものと思われます。
国際課税研究所首席研究員 博士(会計学)。
中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。
著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。
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