「スイスの銀行なら秘密は守られる」は過去の話?フランスが求めたUBS「口座情報」開示の経緯【国際税務の専門家が解説】

「スイスの銀行なら秘密は守られる」は過去の話?フランスが求めたUBS「口座情報」開示の経緯【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

 「顧客の秘密は絶対に守る」——そう信じられてきたスイスの銀行に、いま大きな風穴が開いています。スイス最大手UBSを舞台に、米国とフランスがそれぞれ繰り広げた口座情報開示をめぐる攻防の結果、約4万人分の顧客データがフランスへ引き渡されるという衝撃の判決が下りました。100年近く守られてきた「秘密主義」はなぜ崩れたのでしょうか。国際課税研究所首席研究員の矢内一好氏が解説します。

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銀行法47条の規定

スイスの銀行は、顧客情報の保護の厳格さと資産運用のノウハウに長けているというのが一般的な評価です。しかし、2000年以降、最大手銀行UBSを巡って、この評判に反する2つの事件が米国とフランスでそれぞれ起きています。

 

1934年に成立したスイス銀行法47条には、「銀行の行員として信任を受けながら顧客の秘密を開示する者には6か月以下の禁固刑または5万フラン以下の罰金」という規定があります。

米国とUBSの事件

米国の事件は、2008年5月に、UBSの元社員が米国人の顧客に対して脱税のほう助をしたことでフロリダ州において起訴されたことに端を発します。

 

同年7月にUBS財務最高責任者は米国におけるプライベートバンキングから撤退することを発表しましたが、同年11月にはUBSのプライベートバンキング部門の責任者が脱税ほう助の共謀罪で起訴され、2009年2月18日に米国司法省とUBSは、制裁金7億8千万ドルの支払いと200~300人の米国人顧客名簿を開示することで和解しました。

 

米国側はその後も追及を続け、2009年4月30日にUBSとスイス政府は、米国政府による52,000名の顧客名簿の公表要求を拒否すると法廷で証言しました。

 

そして、2009年8月12日に米国政府とスイス政府はUBS問題で合意に達し、UBSは、4,450口座の所有者名を公表しました。この時点で、UBSは、最大の得意先である米国市場を確保するため、米国側の圧力に屈したのです。

 

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