最長1年6ヵ月「毎月40万円」を支給…働けなくなった経営者を支える「公的保障」の受給条件【税理士が解説】

最長1年6ヵ月「毎月40万円」を支給…働けなくなった経営者を支える「公的保障」の受給条件【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

社長や経営者が突然の病気や怪我で業務を行えなくなった際、生活を支えるための公的救済制度が用意されています。高額な社会保険料を支払っている経営者だからこそ、これらの制度を正しく活用することが重要です。本記事では、税理士法人グランサーズ共同代表の黒瀧泰介氏が、最長1年6ヵ月にわたって毎月約40万円を非課税で受け取れる「傷病手当金」の受給条件や、症状が長引いた場合の「障害年金」への移行について解説します。

症状が長引く場合は「障害年金」へ…受給に必須となる条件

傷病手当金の支給期間である1年6ヵ月が経過しても病気や怪我が回復せず、仕事や日常生活に制限が残る場合は、「障害年金」の受給へと移行します。

 

障害年金は、重篤な事故による肢体の障害だけでなく、うつ病に代表される精神障害や、がん、糖尿病による合併症に起因して、日常生活や業務に著しい制限が生じる状態であれば広く対象となります。特にがん患者において、制度の存在を知らずに申請を行っていないケースが見られます。

 

障害年金を受給するためには、傷病手当金よりも厳格な審査と手続きを通過する必要があります。

 

絶対に満たさなければならないのが、年金保険料の納付実績です。初めて医師の診察を受けた日(初診日)の前々月までの加入期間のうち、3分の2以上が適切に納付されている必要があります。

 

未納期間が3分の1を超えている場合は、どれほど症状が重くても支給されません。支払いが困難な場合は、未納のまま放置せず、事前に年金事務所へ免除申請の手続きを行っておく必要があります。

 

さらに、障害の状態が国で定められた基準(1級、2級、3級)に該当している必要があります。無事に審査を通過した場合の支給額は、障害の重さ、家族構成、過去の平均年収によって計算されます。

 

一例として、40歳の男性会社員で、障害等級2級、平均年収800万円、20年勤務、専業主婦の妻と18歳未満の子が2人いる家族構成を想定します。この場合、障害基礎年金が約130万円、障害厚生年金が約145万円となり、年間で合計約275万円が支給されます。月換算では約23万円となり、生活を支える強力な財源となるでしょう。さらに、障害年金は要件を満たしている限り、一生涯にわたって受け取り続けることができます。

まずは公的保障の理解から…無駄のない民間保険の選び方

万が一の事態における生活費を補填するために、これら充実した公的保障制度の内容を理解しておくことは重要です。

 

まずは傷病手当金や障害年金といった国からの給付を生活のベースとして捉え、それでも不足する部分に限って、民間の所得保障保険や就業不能保険で補う設計が推奨されます。このアプローチを取ることで、毎月の無駄な保険料コストを最小限に抑えつつ、確実なリスク管理体制を整えることができます。

 

病気や怪我で突然働けなくなったとしても、健康保険や年金制度を通じて、傷病手当金や障害年金といった強力な生活支援金を受け取ることができます。ただし、これらの公的給付を適切に受け取るためには、申請手続きのルールや年金の納付実績、役員報酬の改定ルールを正確に順守しなければなりません。

 

いざというときに生活を守るためにも、制度の仕組みを事前に把握し、手続きに不安がある場合は専門の税理士や窓口へ相談しながら、万全な備えを進めていきましょう。

 

 

黒瀧 泰介

税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士

 

※本記事は、YouTube『社長の資産防衛チャンネル【税理士&経営者】』より動画を一部抜粋・再編集したものです。

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