(※写真はイメージです/PIXTA)

かつては景気の押し上げ要因とされていた円安ですが、近年ではその効果が薄れています。一方で、円安は株価にプラスの影響があるといえます。どんなメカニズムが働いているのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

 ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

父が溶かした退職金【上巻】・【下巻】
小林篤典(著)+ゴールドオンライン(編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

円安は景気には効かないが…

かつて、円高(=ドル安)は景気に悪く、円安(=ドル高)は景気に良い、といわれていました。円高だと輸出数量が減り、円安だと輸出数量が増えたからです。しかし、最近の輸出企業は輸出より現地生産に注力しており、円安になってもあまり輸出数量は増えなくなってきています。「輸出を増やすために国内に工場を建てるのは危険だ。工場が完成した頃に円高になって輸出が難しくなれば、工場が無駄になってしまうからだ。そんなことなら、売れるところに工場を建てるほうがよい」と考える企業が増えているからです。

 

一方で、円安になると消費者物価が上がり、消費者の懐が冷やされて消費が減ります。筆者のイメージとして、最近では円安によって輸出数量増効果と消費減効果が相殺していて、景気への円安の効果はおおむねゼロなのではないかと考えています。円安の景気への影響については拙稿『円安、かつては景気拡大要因だったのに?…円安が景気に効かなくなった切なすぎる理由』を併せてご参照いただければ幸いです。

輸出企業の利益増は株価に直結

円安の景気への影響はほぼゼロだとしても、株価に対しては明確なプラスであると思われます。それは、円安で上場企業の利益が増えるからです。

 

円安になると、輸出企業は受け取ったドルを高く売ることができます。その分は、配当されるにせよ内部留保されるにせよ、ほぼそのまま株主の利益になります。日本の主要な輸出企業の多くは上場していますから、ドルが高く売れた利益の多くは上場企業の株主の利益となり、上場企業の株価上昇に直結します。

輸入企業のコスト増は消費者等に転嫁される

一方、輸入企業が高い値段でドルを買わされることに伴う利益減少は、そのまま上場企業の利益の減少となるわけではありません。輸入者には上場企業以外も多いでしょうし、上場企業が輸入したとしても、コスト増が売り値に転嫁されれば、上場企業以外の利益減となったり消費者の負担増となったりするので、上場企業の利益減になるとは限りません。円安が上場輸出企業の利益増に直結するのと比べて、円安が上場輸入企業の利益減となる割合は、相当低いといえるでしょう。その差が上場企業全体の利益増となり、株価を押し上げるのです。

 

輸出代金のドルが高く売れるだけではありません。日本の上場企業は海外に多くの資産を持っています。米国債、外国株、外国不動産等々は、ドル高円安になると「売れば利益が出る資産」になり、株式市場では企業の「含み益」として認識されますから、海外に資産を持っている上場企業の株価は値上がりするわけです。

次ページ大幅な円安なら話は別だが…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧