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かつて、円安は「景気拡大要因」だったが…
かつての日本経済は、円高(=ドル安)になると景気が悪化して「円高不況」と言われ、円安(=ドル高)になると景気が拡大する傾向が顕著でした。円高になると、「輸出しても儲からない」と考えた輸出企業が生産を減らします。すると、従業員の一部を解雇するので、失業者が増えるのです。生産を減らすと部品の購入も減るので、部品会社も売上が減り、倒産するところも出てきたかもしれません。
反対に、円安になると「輸出すれば儲かる」と考えた輸出企業が懸命に増産するので、雇用が増え、景気が良くなりました。輸出企業が雇用を増やすと、雇われた「元失業者」が消費をするようになるので、輸出と関係ない居酒屋なども儲かるようになったわけです。
輸出企業が地産地消に注力するようになった
最近、日本の輸出企業は国内で生産して輸出するよりも海外に工場を建てて現地生産(売れるところで作る)をするようになっています。「輸出するために国内で工場を建てたとしても、工場が完成したときに円高になっていて輸出ができないと、工場が無駄になってしまう。そうしたリスクを避けるためには、売れるところに工場を建てて、そこで生産するほうが安心だ」というわけです。
人口が減っていき、経済規模が小さくなっていく日本の中に工場を作るより、人口が増えて経済規模が大きくなっていきそうな海外に工場を作るほうが将来性がある、といったことも考慮されているのかもしれません。労働力希少(労働力不足と呼ぶ人が多い)が深刻化しそうな日本国内に工場を建てることを避けたい、という発想もあるのかもしれません。
そうなると、日本から輸出されているのは、どうしても日本で作る必要があるものだけ、ということになっていきます。もちろん、今はまだそこまでいっていませんが、徐々にそうした状態に近づきつつあるわけです。
そんなとき、円安ドル高になっても、輸出企業は国内生産を増やすわけではなく、国内の雇用もあまり増えません。したがって、円安の景気への影響は限定的になってきたのです。
