理由② きょうだいからの相続、重税でも抵抗感が少ない可能性
筆者が特に増税したいと考えているのは、配偶者も子も親もいない被相続人の財産です。配偶者も子も親もいない被相続人の財産は、きょうだいが相続します。これには非常に高い税率を課してよいでしょう。
子どもが相続する場合よりきょうだいが相続する場合の方がはるかに「棚ぼた」的ですし、社会通念からしても、子どもが相続する時に重税を課すよりきょうだいが相続する時に重税を課す方が抵抗は少ないでしょう。
生物学者に意見を求めれば、「自分と子は遺伝子を半分しか共有しておらず、きょうだいと自分も遺伝子を半分共有しているのだから、同じ扱いでいい」などと言い出しかねませんが、社会通念上、家族というのはそういうものではないでしょう。
年金制度の観点からも、きょうだいへの課税は合理的です。年金は、現役世代が高齢者を支える制度となっているので、子のいない高齢者の老後は他人の子に養ってもらっているのです。そうであれば、亡くなった時に使い残された財産は後の世代にお返しするべきでしょう。
理由③ 少子高齢化の進展、所得税が取りにくくなる一方で…
税収という面でも、相続税は有望です。少子化で現役世代が減り、所得税が増えにくくなっていく一方で、亡くなる方の数はそれほど減っていかないからです。
特に、きょうだいへの課税は非常に有望です。最近は結婚しない人や結婚しても子がいない夫婦が増えていますから、数十年後には「配偶者・子・親のいない被相続人」が激増するでしょう。
彼らの遺産のたとえば半分を相続税で召し上げてしまえば、国の借金の多くは返済できてしまうかもしれません。
「相続税を増税すると金持ちが海外に逃げてしまう」と心配している人もいるようですが、筆者はあまり心配していません。日本の高齢者の多くは生まれ育った日本で死にたいと考えているでしょうから。
自分の子の相続税を安くするために海外に移住する、という金持ちは稀にはいるかもしれませんが、「きょうだいが払う相続税を安くするために、自分が海外に移住する」という金持ちはさらに少ないでしょう。
その意味では、相続税は財産税より合理的かもしれません。財産税を逃れるために海外に移住する人は結構多いかもしれず、それと比べると相続税増税の方がはるかに「節税のインセンティブ」が低いからです。
今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。
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塚崎 公義
経済評論家
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