令和8年の消費税をめぐる議論も…税制改革が税制改正とは大きく違って「難しい」理由【国際税務の専門家が解説】

令和8年の消費税をめぐる議論も…税制改革が税制改正とは大きく違って「難しい」理由【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

税制改革は、経済や社会の変化に対応するために不可欠です。しかし、大規模な改革になればなるほど、政治的な対立や既存制度との摩擦が生じ、当初の構想どおりに進めることは容易ではありません。日本の消費税をめぐる議論を入り口に、アルゼンチンの事例から、税制改革の難しさを考えてみます。

アルゼンチンでも大規模改革に壁

税制改革の難しさを考えるうえで、アルゼンチンの事例も興味深いものです。

 

ハビエル・ミレイ大統領は2023年12月に就任し、深刻なインフレと財政赤字を抱えるアルゼンチンで、大規模な経済改革を掲げました。2024年の同国のインフレ率は200%を超える水準となり、通貨ペソの下落も続いていました。

 

こうした状況のなかで、ミレイ大統領は就任直後から大規模な改革に着手しました。税制についても、個人所得税や法人税などを含む大幅な改革案を議会に提出しました。

 

しかし、政府が当初示した改革案は、議会での審議や政治的な調整を経るなかで修正を余儀なくされ、当初の構想をそのまま実現することはできませんでした。

 

現在のアルゼンチンでは、法人税率は35%、個人所得税の最高税率も35%となっています。消費税に相当する付加価値税は標準税率が21%で、品目によって異なる税率も設定されています。財政の立て直しとともに、複雑化した税制を簡素化することも課題となっています。

 

大規模な改革を掲げたとしても、それを実際の制度として成立させるまでには、議会や社会との調整という大きな壁があります。これはアルゼンチンに限った話ではありません。

日本にとっても無関係ではないアルゼンチンの教訓

経済的にはさまざまな問題を抱えるアルゼンチンですが、日本にとっては重要な食料輸入国の一つでもあります。

 

アルゼンチンは、トウモロコシ、小麦、大豆などの重要な輸入先です。また、世界の穀物市場で大きな影響力を持つ穀物メジャーの一角であるブンゲ(Bunge)は、ブラジルやアルゼンチンなど南米産穀物の取り扱いで大きな存在感を持っています。

 

そのため、アルゼンチンの経済政策や農業政策、さらには税制の変更は、同国だけの問題ではありません。世界の穀物市場を通じて、日本を含む各国の食料価格や貿易にも影響する可能性があります。

 

税制というと、どうしても国内の税負担だけに目が向きます。しかし、経済や企業活動が国境を越えて広がっている現在では、一国の税制や経済政策が、貿易や資源価格などを通じて他国にも影響することがあります。

次ページ「改革」はなぜ難しいのか

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧