なぜ今回、監督指導が見直されるのか
今回の見直しには、長時間労働をめぐる企業の実態も関係している。
特に中小企業では、人手不足や取引先からの短納期要求など、自社だけでは解決しにくい事情によって時間外労働が発生しているケースもある。2026年3月の労働政策審議会でも、人手不足のなかで現場を支える中小企業について、取引先など外部からの影響によって時間外労働が増えている実態が指摘されている。
こうした事情を踏まえれば、単純に「45時間を超えたから減らしなさい」と指導するだけでは、企業が抱える問題の解決につながらない場合もある。そこで今回の見直しでは、労働時間そのものだけではなく、健康確保措置や労使間の取り決めなども含めて、事業場の実態に応じた監督指導を行う方向へと軸足が移されることになる。
「長時間労働への監視」が弱まるわけではない
厚労省は、個々の事業場の実態を踏まえ、過重労働による健康障害が生じるおそれが高い場合には、9月以降も必要な指導を行うとしている。実際、労基署による長時間労働への監督指導は、現在も相当数に上っている。
厚労省が公表した2024年度の監督指導結果によると、長時間労働が疑われる2万6512事業場を対象に監督指導を実施。このうち、違法な時間外労働が確認された事業場は1万1230事業場で、全体の42.4%を占めた。
また、過重労働による健康障害防止措置が未実施だった事業場は5691事業場(21.5%)に上ったほか、実施内容が不十分として改善指導を受けた事業場も1万2890事業場に上っている。
この数字からも分かるように、今後も「長時間労働を放置している企業」が監督指導の対象となる可能性は十分にある。
