相続人の数に思わず仰天!昭和41年から〈祖父名義のまま〉だった実家の土地…70代女性が「自分の代で終わらせたい」と決断したワケ【相続実務士が解説】

相続人の数に思わず仰天!昭和41年から〈祖父名義のまま〉だった実家の土地…70代女性が「自分の代で終わらせたい」と決断したワケ【相続実務士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「昭和41年に亡くなった祖父名義の土地を、自分の代で何とかしたい」。70代のFさんが相談に訪れたのは、60年近く放置されてきた実家の土地を整理するためでした。しかし、調査を進めると判明した相続人は、なんと34人。さらに、土地には生活保護を受給する弟さんが暮らし、固定資産税の滞納もありました。複雑に絡み合った相続を、どのように解決へ導いたのでしょうか。相続実務士・曽根惠子氏が、実例をもとに解説します。

相続人調査だけで半年、費用は約20万円

相続人の特定には、約半年を要しました。

 

何代にもわたる戸籍を全国から収集し、その内容を読み解きながら相続関係をたどっていく必要があったためです。

 

古い戸籍には手書きのものもあり、現在の戸籍とは形式も異なります。さらに、戸籍上は相続人となる人についても、過去に家庭裁判所で相続放棄をしていれば、今回の遺産分割の当事者にはなりません。そのため、家庭裁判所への照会も必要でした。

 

司法書士報酬や戸籍取得などの実費を含め、調査費用は約20万円になりました。そして半年間の調査の結果、判明した相続人は総勢34人でした。

 

「34人もいるのですか」

 

Fさんにとっても、想像を超える人数でした。

34人のうち24人は相続放棄済み

ただし、34人全員と遺産分割協議をする必要があったわけではありません。

 

家庭裁判所への照会を進めた結果、34人のうち24人については、すでに過去の相続で相続放棄をしていたことが確認できました。

 

その結果、現在、正当な相続権を持つ人は10人まで絞り込むことができました。

 

とはいえ、相続人10人という状況も決して簡単ではありません。

 

土地を誰が取得するのかを決めるには、原則として相続人全員の合意が必要です。

 

現在弟さんが住んでいるからといって、

 

「昔から弟が住んでいる土地なので、弟のものにしましょう」と簡単に名義を変更できるわけではありません。

 

約60年間、名義変更をしないまま相続が繰り返された結果、1つの土地を売るために10人の権利関係を整理しなければならない状態になっていたのです。

10人の権利を、住んでいる弟に集める方法

そこで考えたのが、現在その土地で暮らしている弟さんへ権利を集約する方法です。

 

今回の目的は、10人の相続人で土地を共有することではありません。

 

土地と建物を売却し、滞納している固定資産税などを精算するとともに、弟さんの今後の生活を立て直すことです。

 

そこで、他の相続人が持つ相続分を弟さんへ譲渡する「相続分譲渡」を活用することにしました。

 

相続分譲渡とは、相続人が自分の相続分を別の相続人などへ譲り渡す方法です。

 

他の相続人に対し、

 

「現在は弟が実家に住んでいること」

「土地を売却して税金や諸費用を精算したいこと」

「弟の住み替え先を確保したいこと」

 

など、今回の事情を丁寧に説明していきました。

 

もちろん、相続人が10人いれば、全員から簡単に協力を得られるとは限りません。実印の押印や印鑑証明書の提出といった手続きも必要になります。

 

そのため、場合によってはいわゆる「ハンコ代」にあたる金銭を支払うことも提示しながら、理解と協力を求めました。

次ページ10人に協力を求めた結果……

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