「私の予定は、いつ入れればいいの?」初めて口にした本音
ある日、久美子さんは以前から友人に誘われていた日帰り旅行へ行くことにしました。1ヵ月以上前から予定を決め、美香さんにも「この日は迎えに行けないからね」と伝えていました。
ところが前日の夜、美香さんから電話がありました。
「ごめん、明日どうしても仕事抜けられなくて。お迎えお願いできない?」
久美子さんは一瞬迷いました。
「明日は旅行だって言ったでしょう」
「分かってる。でも、今回だけ何とかならないかな」
いつもなら予定を変更していたかもしれません。しかし、その日は久美子さんも断りました。
「私だって予定があるのよ。いつも孫の予定を優先していたら、私はいつ自分の予定を入れればいいの?」
言った直後、久美子さん自身も驚いたといいます。
「孫のお迎えが嫌だったわけじゃないんです。ただ、週4日になったころから、私が空いているかどうかを確認するというより、迎えに行けるものとして話が進んでいたんですよね」
美香さんも、母の負担を具体的に考えたことはなかったといいます。母が仕事をしておらず、自宅からも近いため、「予定がなければお願いできる」と考えているうちに、週4日の送迎が日常になっていました。
こども家庭庁『令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況』によると、2025年5月1日時点の登録児童数は157万人を超えています。共働き家庭の増加などを背景に、放課後や長期休暇中の子どもの居場所への需要は大きく、家庭だけでなく社会的な支援も重要になっています。
その後、親子で送迎について話し合いました。久美子さんが担当するのは原則週2日。残りは美香さん夫婦で勤務時間を調整し、必要に応じてファミリー・サポート・センターなど地域の子育て支援も検討することにしました。
習い事への送迎も毎週久美子さんが担当するのではなく、娘夫婦と交代します。費用についても、ガソリン代や孫の夕食代として美香さんが毎月一定額を渡すことにしました。
送迎が週2日になったからといって、久美子さんが孫に会わなくなったわけではありません。むしろ、お迎えのない日は友人との予定を気兼ねなく入れられるようになり、孫を迎える日も以前より余裕を持って過ごせるようになったといいます。
祖父母による送迎や預かりは、子育て世帯にとって大きな支えになります。ただ、一度引き受けた役割でも、頻度が増えれば負担は変わります。
家族の助けを長く続けるためには、できる日数や時間、費用の負担をその都度見直すことも必要です。孫との時間を大切にしながら、祖父母自身の生活も守れる形に整えることが、無理のない関わり方につながります。
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