(※写真はイメージです/PIXTA)

「これも持っていきなさい」――。子どもを思う親心から始まった食材や日用品の援助が、いつの間にか“当たり前”になっていた女性。年金生活で老後にも不安を抱えるなか、それでも子どもへの援助をやめられなかったといいます。その裏にある「親の役割を失う」ことへのためらいとは? 

「これ、持って帰りなさい」がいつの間にか“当たり前”に

「これも持っていきなさい。お米はまだあるの?」

 

娘の美緒さん(40歳)が帰る時間になると、弥生さん(69歳)は冷蔵庫や物置を行ったり来たりします。野菜、肉、冷凍食品、調味料のほか、洗剤やティッシュなどの日用品まで袋に詰めていきます。

 

美緒さんが笑顔で受け取り、いつものように車に積んで帰っていく。――始まりは、美緒さんが1時間ほど離れた距離でひとり暮らしを始めた12年ほど前。生活費のやりくりが大変なのではと、家にあった食材を「持って帰る?」と渡したのが始まりでした。

 

「お母さん、ありがとう! 生活カツカツだから本当に助かるよ」

 

娘が喜んだのがうれしくて、次も、その次も……やがて、美緒さんが来る前に「何を持たせよう」と考え、家にないものまで買うようになりました。そして、それは美緒さんが結婚・出産してからも、途絶えることなく続く“決まり事”になっていました。

 

月1~2回の訪問で持たせる食材や日用品はその時々で違いますが、平均すると1回3,000~5,000円ほど。年間では15万円前後になります。

 

東京で一人暮らしをする息子の智さんには、2ヵ月に1回ほど段ボールを送ります。送料を含めて1回7,000~8,000円ほどで、年間では約5万円。娘への援助と合わせると、子どもたちに年間20万円ほど使っている計算です。

次ページ援助を絶やさない優しい親…その影で「貯金残高1,000万円」

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