「一度目は落ちました」公営住宅への住み替えまで
数ヵ月後、再び募集がありました。今回は第一希望だけにこだわらず、スーパーと内科へ徒歩で行ける団地を選びました。
築年数は古いものの、建物にはエレベーターがあり、募集された部屋は2DK。家賃は収入に応じて決まるため、修一さんの場合は共益費を含めても月4万円台になる見込みでした。
2度目の申し込みで当選しました。
その後、書類による入居資格の確認などを経て、正式に入居が決まりました。公営住宅は、抽選に当たれば無条件で入居できるというものではなく、募集時に定められた資格を満たしているかの確認も必要です。自治体によって募集方法は異なり、応募が少ない住宅では抽選を行わない場合もあります。
入居が決まってから、修一さんは戸建ての売却を進めました。
家は約2,100万円で売却。仲介手数料や引っ越し費用などを差し引いた残りは、今後の医療費や介護費、生活費として残しました。
「子どもからは、『家を売ってまで団地に行くの?』と言われました」
修一さん自身も、以前なら同じように考えたかもしれません。
しかし、暮らし始めて最も大きく変わったのは、毎日の出費以上に「家を維持しなければならない」という心配が減ったことでした。
外壁や屋根を自分で修繕する必要はありません。庭の草取りもなくなりました。部屋も一人で暮らすには十分な広さです。
総務省『令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計』によると、高齢者のいる世帯の81.6%は持ち家に住んでいます。一方、高齢単身世帯では32.2%が借家に居住しており、高齢期の住まい方は持ち家だけに限られているわけではありません。
もちろん、団地なら何でも便利というわけではありません。
修一さんの住む住宅は比較的新しく設備更新されていますが、団地によって築年数やエレベーターの有無、周辺環境は異なります。希望する地域の住宅に空きがなければ、申し込み自体ができない場合もあります。
「戸建てのほうが広いし、自由だったと思います。でも今の自分には、家を持ち続けることより、毎月の住居費がある程度見えていて、大きな修理を自分で考えなくていいほうが安心だったんです」
高齢期の住み替えでは、公営住宅も選択肢の一つになりますが、収入要件や募集方法、当選までの期間などを考える必要があります。持ち家を売却する場合には、入居先が決まる前に手放してしまうと住む場所に困る可能性もあります。
住居費を抑えられるかだけでなく、いつ申し込めるのか、単身でも対象になるのか、希望する住宅の募集があるのかまで確認しながら準備を進めることが、現実的な住み替えにつながります。
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