(※写真はイメージです/PIXTA)

孫の進学や習い事を応援したいと、祖父母が金銭的な援助をすることがあります。喜んでもらえるうちは双方にとってうれしいものですが、援助が繰り返されるうちに「今回も出してもらえる」という期待が生まれることもあります。善意で始めた援助が、親子の認識のずれにつながったケースを見ていきます。

「今度は出せない」初めて断った母に返ってきた言葉

恵子さんは、その場では返事をしませんでした。

 

これまで孫たちのために出したお金を計算すると、すでに200万円近くになっていました。500万円あった定期預金も、残りは300万円ほどです。

 

自分も70歳になり、今後は医療費や介護費、マンション設備の交換などにまとまったお金が必要になるかもしれません。

 

内閣府の同調査によると、今後優先的にお金を使いたいものとして最も多かったのは「自分や配偶者あるいはパートナーの医療・介護の費用」の47.5%。また、現在の貯蓄が今後の生活への備えとして「少し足りない」と答えた人は21.9%、「かなり足りない」は35.2%に上ります。

 

数日後、恵子さんは娘に伝えました。

 

「ごめんね。大学のお金までは出せないよ」

 

由佳さんは驚いた様子でした。

 

「全部じゃなくていいんだよ。お母さん、前に孫のためなら使いたいって言ってたじゃない」

 

「そうだけど、これからは私のお金も残しておかないといけないから」

 

すると由佳さんは、

 

「だったら、最初から期待させないでほしかった」

 

と言いました。その言葉に、今度は恵子さんが腹を立てました。

 

「私が好きで出してきたお金でしょう。約束していたわけじゃないよ」

 

「でも、今まで出してくれてたじゃない」

 

二人の話は平行線のまま終わりました。

 

その後、由佳さんから連絡が来る回数は目に見えて減りました。以前は週に一度ほど届いていた孫の写真も、ほとんど送られてこなくなったといいます。

 

恵子さんは援助したこと自体を後悔しているわけではありません。ただ、いつの間にか娘に「当たり前のこと」として受け取られていたことには、もっと早く気づけばよかったと振り返ります。

 

なお、祖父母が孫の教育費を負担する場合、通常必要と認められる学費や教材費などを必要な都度渡し、実際に教育費として使うのであれば、贈与税はかかりません。一方、将来の教育費としてまとまった金額を一括で渡し、そのまま預貯金として残る場合などは、贈与税の対象となることがあります。教育費の援助でも、渡し方や使途によって税務上の扱いが異なる点には注意が必要です。

 

子や孫への援助は、最初は一度きりのつもりでも、進学などの節目が重なるにつれて回数や金額が増えることがあります。一方、親自身も年齢を重ねれば、医療や介護、住まいなどに備える必要が出てきます。以前は出せたお金でも、数年後に同じように出せるとは限りません。援助を続けるなかで親子それぞれの受け止め方が変わり、それが後になってすれ違いとして表れることもあります。

 

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