「同居してもらってる」…相手に依存しているのは自分か、子どもたちか
周囲から「子どもが同居してくれて安心ね」「孫と一緒で楽しそう」と思われても、現実はそうではありません。頼りにされているのは年金からの「生活費」と、タダでやってくれる「家事労働」だけ。同居させてもらっているという遠慮から、辛いと声を上げることもできずにいる――。
しかし、相手に依存し、甘えているのはどちらなのでしょうか。毎月10万円を入れてくれ、家事までこなしてくれる同居人は、息子一家にとって「都合の良い存在」です。もし登紀子さんが家を出たら、毎月の収入は減り、夕食の準備も自分たちで担わなければならなくなります。
「老親が心配だから」という優し気な言葉の裏で、登紀子さんの好意と資金に甘えきっているのは、息子一家の方ではないでしょうか。
「家族と同居しているのに孤独死しそう」――そんな不安を抱えてまで、この家に居続ける必要はあるのでしょうか。現在の関係性や経済的負担を見直す話し合いもできないのであれば、同居を解消して一人暮らしに戻るという選択肢を真剣に検討すべきです。
総務省の『家計調査報告 家計収支編2025年』によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヵ月の平均支出(消費支出+税・社会保険料)は16万1,455円です。月15万円の年金収入があれば、多少貯金を取り崩すことがあっても、家賃の低い公営住宅(市営・県営住宅)や民間アパートに入居し、一人で暮らしていくことは決して不可能ではありません。
家庭の外に目を向ければ、地域のシニア向け講座やサークル、ボランティア活動など、一人の人間として尊重し合える人間関係の場も存在します。
家族だけの話し合いが難しい場合は、地域包括支援センターや高齢者福祉の相談窓口に介入してもらうのも有効な手です。第三者が入ることで、家族と適切な距離感を保つための現実的な手立て(別居に向けた住居探しや生活支援)も見えてきます。
周囲の「恵まれてるね」という言葉に縛られ、置かれた場所で耐えなければならないと思い込む必要はありません。必要に応じて「新たな一人暮らしをスタートさせる」という一歩を踏み出す勇気を持っても良いのではないでしょうか。
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