想定外の連続
夫婦にとっての大きな誤算は、購入時に描いていた収入の見通しが崩れたこと。敦さんの勤務先では業績が悪化し、賞与が大幅にカット。年収は650万円から550万円まで減少しました。さらに大きかったのは、「フルタイムで働く」と話していた奈緒さんが、思うように働けなかったことです。
下の子が学校を休みがちになり、急な呼び出しも増加。家事や子育てと両立しながら働くことが難しくなりました。「もう、体力がもたない」と、正社員として働くことは断念し、アルバイトをする程度に。年収は100万円にも届きません。
夫婦合わせても世帯年収は650万円未満。しかも、そこから税金や社会保険料などが引かれます。一方、住宅関連費だけで月18万円程度で、手取り収入に対してみれば、住居費だけで4割強を占める計算になります。
6年前にはまだ小さかった子どもたちも、成長すれば食べる量が増え、衣服や日用品にもお金がかかります。さらに、上の子は中学生になり、学校関係の費用や習い事、塾など、教育費も膨らんでいきました。節約しようと思ったはずが、現実的にはそれが難しい状況だったのです。
購入時に800万円あった預金は、6年で250万円ほどまで減っていました。家族旅行などの贅沢はできなくなり、夫婦の口論も増えていきました。
「今月も貯金から出さないと足りないわ……」
「俺の給料が減ったからな。でも、その分小遣いも削ってるんだぞ」
「私だって働けるなら働いてる。そうやってすぐイライラするのやめてよ」
ピリピリした家の雰囲気に、子どもたちも親の機嫌を窺うような素振りが増えました。「このままでは家族がおかしくなる」――夫婦は決断を迫られました。
