「入学祝いとは別に出すよ」孫の大学進学で渡した100万円
「孫が大学に受かったと聞いたときは、本当にうれしかったんです」
そう話すのは、一人暮らしの洋子さん(仮名・70歳)です。
夫とは6年前に死別。現在は月約15万円の年金で暮らしています。住宅ローンを完済した自宅があり、夫から引き継いだ分を含め、預貯金は約2,000万円です。
長男の直樹さん(仮名・46歳)は妻と2人の子どもの4人暮らし。上の子である孫が、この春、私立大学へ進学しました。
合格の知らせを受けたとき、洋子さんは長男に尋ねました。
「大学って、やっぱりお金かかるんでしょう?」
長男は「まあね。でも準備はしてきたから大丈夫だよ」と答えたそうです。それでも洋子さんは何かしてあげたいと考えました。
文部科学省『私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果』によると、私立大学学部の初年度学生納付金等の平均は150万7,647円。内訳は授業料96万8,069円、入学料24万365円などとなっています。学部や大学によって金額は異なりますが、入学時にはまとまった支出が発生します。
洋子さん自身もその程度の費用がかかることはニュースなどで知っていました。そこで入学祝いとは別に、100万円を援助すると長男に申し出たのです。
「最初は『そんなにもらえないよ』と言われました。でも、私が持っていても使わないし、孫の教育に使ってもらえるなら、そのほうがいいと思ったんです」
長男は何度か断ったものの、最終的には受け取ることにしました。洋子さんが振り込んだのは100万円。学費の支払いに充てると聞きました。
洋子さんは、孫本人にも当然そのことが伝わるものだと思っていました。ところが、入学後しばらく経っても、孫からその話は出ません。
もちろん、入学祝いを渡した際には「ありがとう」と言われています。大学生活が始まってからも、メッセージで近況を教えてくれることがありました。
それでも洋子さんには、少し引っかかるものがありました。
「『おばあちゃん、ありがとう』くらいは言われると思っていたんです。100万円ですからね」
最初は忙しいのだろうと思っていました。しかし1ヵ月、2ヵ月と経っても何もありません。
洋子さんは次第に、「もしかして、あまりうれしくなかったのかな」と考えるようになったそうです。
内閣府『令和6年度 高齢者の経済生活に関する調査』では、今後優先的にお金を使いたいものとして「子や孫のための支出(学費、こづかい等)」を挙げた人は25.8%でした。また、子や孫の生活費を「ほとんど負担している」「一部を負担している」とした人は合わせて25.2%です。
洋子さんのように、子や孫にお金を使いたいと考える高齢者は一定数います。しかし洋子さんの場合、問題は金額ではなく、その後にありました。
