制服への着替えは「打刻前」…月収28万円・29歳女性が抱えるモヤモヤ。「着替えも仕事では?」と上司に尋ねた結果【社労士が解説】

制服への着替えは「打刻前」…月収28万円・29歳女性が抱えるモヤモヤ。「着替えも仕事では?」と上司に尋ねた結果【社労士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの社会人は、日々会社のルールに従って業務をこなしています。しかし、ふとした瞬間に「これって実質的にタダ働きなのでは?」と疑問を抱く瞬間はないでしょうか。本記事では、そのなかから「制服への着替え時間」に焦点を当て、29歳女性の事例をもとに、社会保険労務士(社労士)の視点から法的な見解と対処法を解説します。

【社労士が解説】「着替えは個人的な準備」は通用する?最高裁が示した「労働時間」の定義

結論からいうと、今回のユイさんのケースでは「制服の着替え時間は労働時間に含まれる」可能性が高いといえます。

 

労働基準法における「労働時間」とは、実際に作業をしている時間(作業時間)だけを指すのではありません。判例上、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています。

 

この「着替え時間」が労働時間にあたるかどうかについて、日本の労働法実務において最も重要な基準となっているのが「三菱重工長崎造船所事件(最高裁平成12年3月9日判決)」です。

 

この最高裁判決では、準備行為(着替えなど)が労働時間に該当するかどうかについて、以下の基準を示しました。

 

1.会社から義務づけられているか(就業規則などで着用が強制されている)

2.事業所内で行うことが義務づけられているか(通勤時の着用が禁止されており、会社の更衣室で着替えるほかない)

 

ユイさんの会社では、就業規則において制服の着用が義務づけられており、通勤時の着用が禁止されています。つまり、ユイさんは会社から「指定された場所(会社の更衣室)で、指定された服に着替えること」を強制されている状態です。

 

これは「使用者の指揮命令下に置かれている」と評価され、立派な労働時間(労働基準法上の労働時間)に該当します。「個人的な準備時間である」という上司の主張は、法的には通用しません。

 

したがって、始業前の着替え時間は「早出残業」、終業後の着替え時間は「居残り残業」として、割増賃金(残業代)が支払われなければならないのです。

 

ただし、「制服はあるが、家から着てきてもよい(通勤時の着用OK)」「そもそも制服への着替えは任意である」といった場合は、更衣室での着替えは労働者の自由な選択となるため、労働時間には含まれないと判断されるのが一般的です。

 

次ページ着替えによる「未払い賃金」を取り戻す方法はある?

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧