人事部長「会社に迷惑をかけるな」…介護支援制度を申請も、“わがまま”と一蹴された〈月収30万円〉45歳女性の絶望。要支援の母を支える〈ギリギリの日常〉【社労士が警告】

人事部長「会社に迷惑をかけるな」…介護支援制度を申請も、“わがまま”と一蹴された〈月収30万円〉45歳女性の絶望。要支援の母を支える〈ギリギリの日常〉【社労士が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

働きながら家族の介護を担う「ビジネスケアラー」は現在、日本に約300万人いると言われています。政府も企業も「介護離職ゼロ」を掲げ、さまざまな支援制度を設けているはずですが、現場の実態は必ずしも理想通りではありません。本記事では、要支援の母の介護に直面した45歳女性が会社の心ない対応に追い詰められる事例をもとに、企業のケアハラスメントに潜む違法性と重大なリスクについて社会保険労務士が解説します。

要支援の母を支える〈月収30万円〉45歳女性の「ギリギリの日常」

ユキさん(仮名・45歳)は、中堅の専門商社で事務職として働く正社員です。現在の月収は約30万円。勤続15年を超え、正確で迅速な事務処理能力は部署内でも高く評価されていました。

 

ユキさんの日常は、仕事と介護のギリギリのバランスの上に成り立っています。1年前に実母(72歳)が軽い脳梗塞で倒れ、後遺症により足腰が不自由になりました。介護保険で「要支援2」の認定を受け、現在は実家で一人暮らしをする母親のサポートを、ユキさんが中心となって行っています。

 

平日はフルタイムで働きながら、仕事終わりに実家へ寄り、夕食の準備や掃除をこなす日々。そして休日は「介護のメインデー」です。

 

土日は夫のイチロウさん(仮名・48歳)も休みのため、イチロウさんの運転する車で母親を病院のリハビリに連れて行ったり、一週間分のまとめ買いを一緒に済ませたりしています。足の悪い母親にとって、ドア・ツー・ドアで移動できる車は必須でした。

 

夫婦の協力のもと、ユキさんは「今の土日休みが確保されているからこそ、何とか仕事と介護を両立できている」と感じていました。

突然のシフト変更…「土日休み」を奪われ、介護支援制度を申請した結果

しかしある日、ユキさんの日常を揺るがす事態が起きます。会社が突然、顧客対応窓口の拡張を理由に、これまで土日祝休みだった事務部門の一部を「シフト制」に変更すると発表したのです。

 

そして、ユキさんに通達された新たな休日は「水曜日と日曜日」でした。水曜日はイチロウさんが仕事のため、車が出せません。

 

「母の通院もまとめ買いも、私一人では到底こなせません……」

 

焦ったユキさんは、すぐに会社の就業規則を確認しました。そこには確かに『介護支援制度』に関する記載があり、「要介護状態にある家族を持つ従業員に対し、所定労働時間の短縮や労働日数の調整など、仕事と介護を両立するための措置を講じる」と明記されていました。

 

ユキさんは、この制度を利用して「休みをこれまで通りの土日のままにしてほしい」と、上司を通じて人事部に申請書を提出しました。

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