〈弁当・ジュース・お菓子〉ほしい商品がすぐ買える!…コンビニのビジネスから読み解く「資本主義」「社会主義」の本質【経済評論家が解説】

〈弁当・ジュース・お菓子〉ほしい商品がすぐ買える!…コンビニのビジネスから読み解く「資本主義」「社会主義」の本質【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が毎日のように利用しているコンビニ。かゆい所に手が届く絶妙な品ぞろえで、利用者の心と財布をガッチリと掴んでいます。しかしなぜ、好みの商品がすぐ買える、そんな便利なシステムが存在するのでしょうか? 経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

経済の発展に「適度な貧富の格差」が必要なワケ

つまり、貧富の格差がゼロになってしまうと、経済はうまくいかないのです。適度な貧富の格差がある、「頑張って働けば豊かになれる」状況が必要なのです。

 

その意味では、格差がないことだけでなく、格差が大きすぎることも問題なのです。

 

たとえば「貧しい家の子は学校に行けないから字が読めず、給料の低い仕事にしか就けない」というのでは経済はうまくまわりません。貧しい家の子でも能力があれば学校へ行って勉強し、経済の発展に貢献してもらうほうがはるかによいでしょう。日本で義務教育が無償である理由は色々ありますが、そのひとつは格差が大きすぎることの弊害を緩和しよう、ということなのでしょうね。

 

もうひとつ、「宝くじに当たれば豊かになれる」というのでは、国民の勤労意欲は高まりません。同様に、たまたま裕福な家に生まれた人は豊かに暮らせる、というのでは、やはり勤労意欲は高まらないでしょう。「頑張って働けば豊かになれる」ということが人々の勤労意欲を高めるわけですから。筆者が相続税率の引き上げを主張しているのは、遺産が人々の勤労意欲を高めないからです。

「欲張りな気持ち」を引き出すには、価格メカニズムが効率的

ソ連では、経済がうまくいかなかったので、少しだけ方針を変更しました。「頑張った者には褒美をやる」というわけです。しかし、やはりうまくいきませんでした。

 

「パンを大量に作った者には褒美をやる」と言われたパン屋は、味のことなど構わずに、とにかく大量のパンを作り続けました。その結果、国民は非常に不味いパンばかり食べて暮らすようになったのです。飢えるよりはマシでしたが…。

 

「美味しいパンを作った者に褒美をやる」という規則を作ろうとしましたが、それは無理でした。政府の役人がすべてのパンを食べ比べ、美味しいパンを作った人を選ぶのは大変すぎるからです。

 

米国や日本などの資本主義の国では、「美味しいパンを作ればたくさん売れて儲かるから、美味しいパンを作ろう」と考える人が美味しいパンを作る競争をするので、皆が美味しいパンにありつけるわけです。

 

このように、政府が経済に口を出さず、人々が競争してよい物を作ろうと頑張る経済を「価格メカニズム」「市場メカニズム」などと呼びます。人々が欲張りであることを利用した経済、というわけですね。

 

人々の間でパンの人気がなくなり、パスタの人気が高まれば、パンが売れなくなるので、パン屋は「値下げしてパンを売るか、パスタ屋に転向するか」を迫られます。その結果、パン屋が減り、パスタ屋が増え、人々が食べたいものが多く供給される(店に並ぶ)ことになります。これも、資本主義の素晴らしいところです。

 

共産主義経済では、政府が何を作るか決めるので、人々が好むものが店に並ぶとは限らないわけですが、資本主義では人々が望むものが店に並ぶのです。

憎たらしい「強欲商人」の存在も、経済には有益!?

もしかすると、強欲商人も経済の役に立つかもしれません。江戸時代、例年の半分しかコメが獲れない年があったとしましょう。それを知った強欲商人はコメを買い占めたかもしれません。そうなると、人々は前年の数倍の値段でコメを少しだけ買い、腹をすかせながら強欲商人を恨みながら暮らしたことでしょう。

 

では、心の優しい将軍が「買い占め禁止令」を出したらどうでしょうか。コメは値上がりせず、人々は例年通りの生活をしたでしょうが、半年経過した時点で日本中のコメがすべて食べられてしまい、残り半年で餓死する人が多数出たかもしれません。

 

経済を考えるときには「温かい心」が必要なことは当然ですが、同時に「冷たい頭脳」も必要なのです。弱者のための政策が弱者を苦しめる、という話は経済の世界では珍しくありませんから。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

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