「今年もお墓参りに行こうね」が当たり前だった
東京都内で夫と小学生の娘・息子と暮らす会社員・内藤文美さん(仮名・43歳)。文美さん一家にとって、お盆に秋田県にある文美さんの実家に帰省することは、家族の恒例行事でした。
例年なら、お盆休みが始まると新幹線で帰省し、両親や兄弟、子どもに姪っ子甥っ子……みんな揃って菩提寺へ向かいます。墓石に水をかけ、花を供え、線香を立て、静かに手を合わせる。
「今年もみんな元気で来られました」
そんな気持ちを胸に墓前を後にすると、そのあとは子どもたちのお楽しみです。昼は親戚みんなで食卓を囲み、夜はバーベキュー。帰省中には近所のお寺で小さな夏祭りも開かれ、屋台で焼きそばやかき氷を買い、帰宅後は実家の庭で花火をします。
そんな都会ではなかなか味わえない、どこか懐かしいような夏。文美さん自身が子どもの頃から過ごしてきたお盆の風景と、ほとんど変わりません。
「子どもたちにも、この思い出を残してあげたいと思っていたんです」
しかし、食品や日用品の値上げが続いて子どもの教育費も増えるなか、東京から秋田まで家族4人が往復するだけで11万円以上。実家への手土産、現地での食事代、諸々合わせると帰省費用は約13万円~15万円になります。もはや、毎年当たり前に出せる額ではなくなっていました。
一方、夏の帰省では別の問題も。お盆の時期、東北とはいえ秋田でも30度を超える日が続出。墓地には日陰がほとんどなく、照り返しも強い。70代になった両親や子どもたちにとって、炎天下でのお墓参りは決して楽ではありません。
「今年、どうしよう……」
文美さんがそう悩んでいた頃、母(75歳)から電話がかかってきたのです。
