「今年のお墓参りは私たちで行くから」…75歳母の電話。〈お寺・お祭り・花火〉実家で夏の思い出をつくるはずが、お盆の帰省をやめた理由

「今年のお墓参りは私たちで行くから」…75歳母の電話。〈お寺・お祭り・花火〉実家で夏の思い出をつくるはずが、お盆の帰省をやめた理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

毎年、お盆が近づくと帰省の切符を手配し、家族そろって実家へ向かう――。お墓参りをして先祖に手を合わせ、久しぶりに親や親戚と顔を合わせる。子どもたちにとっては、故郷の夏を感じる大切な時間でもありました。しかし、長年続けてきた“当たり前”の風景も、家族の年齢や生活環境の変化とともに少しずつ形を変えていきます。今年の夏、43歳女性が母から告げられた言葉と、その背景にあった、親子それぞれの本音とは?

「今年もお墓参りに行こうね」が当たり前だった

東京都内で夫と小学生の娘・息子と暮らす会社員・内藤文美さん(仮名・43歳)。文美さん一家にとって、お盆に秋田県にある文美さんの実家に帰省することは、家族の恒例行事でした。

 

例年なら、お盆休みが始まると新幹線で帰省し、両親や兄弟、子どもに姪っ子甥っ子……みんな揃って菩提寺へ向かいます。墓石に水をかけ、花を供え、線香を立て、静かに手を合わせる。

 

「今年もみんな元気で来られました」

 

そんな気持ちを胸に墓前を後にすると、そのあとは子どもたちのお楽しみです。昼は親戚みんなで食卓を囲み、夜はバーベキュー。帰省中には近所のお寺で小さな夏祭りも開かれ、屋台で焼きそばやかき氷を買い、帰宅後は実家の庭で花火をします。

 

そんな都会ではなかなか味わえない、どこか懐かしいような夏。文美さん自身が子どもの頃から過ごしてきたお盆の風景と、ほとんど変わりません。

 

 「子どもたちにも、この思い出を残してあげたいと思っていたんです」

 

しかし、食品や日用品の値上げが続いて子どもの教育費も増えるなか、東京から秋田まで家族4人が往復するだけで11万円以上。実家への手土産、現地での食事代、諸々合わせると帰省費用は約13万円~15万円になります。もはや、毎年当たり前に出せる額ではなくなっていました。

 

一方、夏の帰省では別の問題も。お盆の時期、東北とはいえ秋田でも30度を超える日が続出。墓地には日陰がほとんどなく、照り返しも強い。70代になった両親や子どもたちにとって、炎天下でのお墓参りは決して楽ではありません。

 

「今年、どうしよう……」

 

文美さんがそう悩んでいた頃、母(75歳)から電話がかかってきたのです。

 

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