「お墓参りはこっちで済ませるから」
「今年のお墓参りは、お父さんと二人で行ってくるから。無理して帰ってこなくていいよ」
文美さんは驚きました。まだ何も言っていないのに……と。すると、母はこう話し始めました。
「実は、みんなを迎えるのがけっこう大変になってきたの。私たちも、もう70過ぎたから。そりゃ色々手伝ってくれるけど、お客様には変わりないから気を使うこともあってね。それに文美たちの方も、こんなに暑い中来るのは大変なんじゃないかと思ってたのよ」
「そうだったんだ。実は私も迷ってたところだった。子どもは寂しがるだろうけど、今年は涼しくなったら私だけ帰ろうかな。お墓参りはいったん任せるね、ありがとう」
電話の向こうで、母は笑いながら言いました。
「そうしよう。家族みんなが集まる機会が少なくなるのは寂しいけど、変わっていくのも仕方がないのかもしれないね」
