計画的に使っていれば安泰だったのに…浪費に走ってしまう理由
田中さんの経験は、極端な例に見えるかもしれません。しかし、「苦労せずに得た大金で金銭感覚が狂う」という落とし穴は、宝くじ当選者や退職金などを手にした人にも見られるリアルな現象です。
金融広報中央委員会の『家計の金融行動に関する世論調査(総世帯/2025年)』によると、「金融資産を保有している」という割合が69.9%いる一方で、「保有していない」が30.1%。全体の3割は貯蓄がないことがわかります。
「お金を持っていないのは、若い年代だけでは?」と思うかもしれませんが、実際には「金融資産を保有している」は50歳代で64.8%、60歳代で69.3%。「保有していない」は50歳代で35.2%、60歳代で30.4%と、全体の平均と大きく変わりません。
その理由はさまざまでしょうが、真面目に仕事を頑張り、慎ましく暮らしてもなお余裕がない――そんな人にとって、田中さんに起きた「突然の数千万円」は、まさに奇跡の夢展開です。長年報われなかった人が歓喜し、羽を伸ばしたくなる気持ちを誰が責められるでしょうか。
しかし、人間は、自らの労働や努力で蓄えたお金には痛みを感じますが、遺産や一時金など「棚から牡丹餅」で得たお金だと、浪費に走りやすい性質があります。長年の苦労に対して、多少のご褒美を設けるのは問題ありませんが、「いくらまで」と明確な限度を決め、それを超える資産には手を付けないルールを守ることが不可欠です。
自分の生活の身の丈を知り、入ってくるお金と出ていくお金をコントロールする――「金銭感覚の自律」こそが、真の安心をもたらしてくれるのです。
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