「自分へのご褒美」から始まった、金に溺れる日々
「これまで惨めな思いをして耐えてきたんだ、お金は有意義に使わせてもらおう」
退職後、まずは一生行くことがないと思っていた海外旅行へ。英語が話せないのがネックでしたが、割高の添乗員付きツアーでも十分支払えます。憧れのハワイに行き、それまでの会社員生活を自ら労いました。
次は車。車を持つ余裕がない暮らしが一転、約800万円の輸入外車を購入。「まさか自分のものになるなんて」――その感激はひとしおでした。
そして、住まいも変えました。急行が止まらない駅の家賃6万円のアパートから、ターミナル駅近くの家賃20万円のマンションへ。「この家に見合う人間になりたい」と、身なりにも気を使うようになり、パーソナルジムにも通い始めました。
すべては、お金がなければ歩まなかった経験です。通帳から100万円単位でお金が消えていっても、この時点ではまだお金は残っていました。
ここで満足していれば、あるいは“幸せに暮らしました”で終わることができていたかもしれません。しかし、田中さんが次に求めたのは「異性との楽しい時間」でした。
若い女性におだてられ、高級シャンパンをポンポンと開ける快感。会社で誰からも尊重されず、低年収だからと夢を持てなかった田中さんにとって、「夜の街」は至高の居場所になってしまったのです。
1夜で数十万円を落とすような生活。資産は目に見える速さで溶けていきました。
