5年後――残高を見て青ざめた夜
そうして過ごすこと5年。65歳を迎える直前、田中さんは通帳に印字された数字を見て青ざめていました。
[残高:730,000円]
相続と貯蓄で6,500万円以上あったはずの資産は、たった5年でほとんど底をついていたのです。
もちろん、もっと前の時点で、このままだとお金が尽きると薄々は気づいていました。しかし、「まだ大丈夫、なんとかなる」――現実を直視せず、お金を使い続けたのです。
65歳から受給できる田中さんの年金は月額およそ13万円ほど。マンションの家賃すら払えません。慌てて愛車を査定に出したものの、外車の値崩れは激しく、買取額は200万円ほどでした。
「働くしかない」――プライドを捨てて再就職を探したものの、65歳・ブランク5年の人材を雇ってくれる仕事はなかなか見つかりません。
「結局貧しい老後になってしまった。見たこともない大金に浮かれ切ってしまった自分自身のせい、自業自得です」
家賃5万6,000円のアパートに転居した田中さんは今、絞り出すように後悔を口にしています。
