「確定申告」が不法移民摘発につながる? IRSの納税データで居場所を特定、最高180万ドル請求も…トランプ政権が進める強硬移民政策【国際税務の専門家が解説】

「確定申告」が不法移民摘発につながる? IRSの納税データで居場所を特定、最高180万ドル請求も…トランプ政権が進める強硬移民政策【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

トランプ政権は、不法移民対策を一段と強化しています。移民税関捜査局(ICE)による摘発だけでなく、内国歳入庁(IRS)が保有する税務情報の活用や、国外退去命令に従わない不法移民に対する1日998ドルの民事罰の適用など、これまでにない手法を組み合わせた取り締まりが進められています。なかでも注目されているのが、確定申告の情報が不法移民の所在把握に利用される新たな運用です。移民政策と税務行政が交差する異例の取り組みは、米国内で大きな議論を呼んでいます。『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』の著書がある奥村眞吾税理士が詳しく解説します。

IRSの税務情報が摘発に活用される

トランプ政権は、この税務情報を不法移民対策に活用しています。

 

国土安全保障省(DHS)は、IRSが保有する納税データへのアクセスを進め、不法移民とみられる人の居住地や所在の把握に利用しています。また、拳銃携帯が認められているIRS犯罪捜査部門(Criminal Investigation)の捜査官が、不法移民摘発の支援に当たるケースも報じられています。

 

本来、税務当局が保有する情報は厳格な守秘義務の下で管理されています。そのため、税務情報が移民政策に利用されることについては、税務行政に対する信頼を損なう可能性があるとして、専門家や移民支援団体から懸念の声も上がっています。

「1日998ドル」の民事罰で自主退去を促す

トランプ政権が積極的に活用しているもう一つの手法が、国外退去命令に従わない不法移民に対する民事罰です。

 

ニューヨーク・タイムズによると、移民裁判所で国外退去命令を受けたにもかかわらず、引き続き米国内に滞在している人に対し、政権は1日998ドルの民事罰を科す通知を10万件以上送付しています。

 

この制度は、1996年に成立した移民法に基づくものです。同法では、国外退去命令に従わない不法移民に対し、1日998ドルの民事罰を科すことが認められています。

 

この規定は長年ほとんど適用されてきませんでしたが、第1次トランプ政権で本格運用が始まり、バイデン政権では一時停止された後、第2次トランプ政権で再び積極的な執行が進められています。

次ページ通知総額は840億ドル、最高180万ドルの請求も

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