「ホテルに泊まったほうがいい?」息子に初めて伝えた本音
今年の帰省を前に、夫婦は初めて長男に相談しました。切り出したのは昭夫さんです。
「今年なんだけど、5泊全部うちじゃなくて、途中でどこか泊まるのはどうかな」
電話の向こうで、長男はしばらく黙っていました。
「俺たち、迷惑だった?」
その言葉に敏子さんは慌てました。
「違うの。来てほしくないんじゃないのよ。でも、お母さんも前みたいには動けなくなったの」
昨年、食事の準備だけで疲れてしまったこと、帰省が近づくと布団や掃除のことを考えて憂うつになっていたことを初めて話しました。すると長男から返ってきたのは、意外な言葉でした。
「だったら言ってよ。毎年楽しみにしてくれてると思ってた」
長男一家にとっても、実家なら宿泊費がかからず、子どもたちは祖父母と過ごせます。敏子さんが毎年たくさん料理を用意していたため、それを負担だとは考えていなかったのです。
話し合いの結果、今年は実家への宿泊を3泊に短縮し、残りは家族で近隣のホテルへ泊まることになりました。
滞在中も、昼食は外食にする日を設け、夕食も総菜やテイクアウトを利用します。孫を連れて出かける際の費用も、長男夫婦が負担することになりました。
総務省『2025年平均 消費者物価指数』によると、総合指数が前年比3.2%上昇しています。日常の支出そのものが増えるなか、年金生活では「年に一度だから」と特別費を重ねることにも注意が必要です。
「今までは、来るなら全部してあげるのが親だと思っていました。でも、それを続けて帰省そのものが嫌になるほうが寂しいですよね」
長男一家との関係が悪くなったわけではありません。むしろ、本音を話したことで夫婦は今年の夏を以前より楽しみにできるようになりました。
子どもが独立しても、実家は「いつでも帰れる場所」であり続けることがあります。しかし、そこで暮らす親も年齢を重ね、体力や家計は変わっていきます。
無理を重ねて「来てほしくない」と思う前に、滞在日数や食事、費用を家族で話し合うことも、帰省を長く楽しめる行事にするために必要なのでしょう。
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