「どうか、夢であってくれ」…年収1,000万円・56歳部長の順風満帆な人生、突然の終焉。もらえるはずの「約2,000万円」を失ったワケ

「どうか、夢であってくれ」…年収1,000万円・56歳部長の順風満帆な人生、突然の終焉。もらえるはずの「約2,000万円」を失ったワケ

順調な会社人生でした。50代で部長となり、年収は1,000万円超。娘の教育費もようやく終わりが見え、「これから老後資金を貯めよう」と夫婦で話し合っていた矢先のこと。会社の突然の制度変更により、「まさかの事態」に。定年までの数年間で失う収入は、なんと2,000万円超に及ぶ可能性があります。今回は、突然の制度変更によって人生設計が一変した56歳会社員の事例から、「長く働く時代」の落とし穴を見ていきましょう。

2,000万円が消える?…急転直下の宣告に「顔面蒼白」

「まさに老後のお金を貯める“ラストスパート”の時期だったんです。……人生って何があるかわかりませんよね」

 

佐野さん(仮名・当時56歳)は、中部地方在住で、新卒で入社して以来、一貫して同じ企業に勤めてきた生え抜きの社員です。

 

この地方では誰もが知る優良企業で、年功序列の風土が残っており、特別な成果がなくても、勤続年数や年齢に応じて自然と役職や給与が上がっていく文化がありました。

 

佐野さんも年齢とともに肩書きが加わり、50歳で部長職に。年収は1,000万円を超えていました。妻はパートで負担がかからない程度に働き、年収100万円前後。娘の大学進学までは教育費を優先してきましたが、学費や一人暮らしの仕送りもようやく終わりが見えたところでした。

 

「住宅ローンもあるし、貯蓄は800万円だけ。これからは毎年200万円ずつ老後資金を貯めようね。そうすれば、なんとかなるよ」

 

夫婦でそんな話をしていた矢先。平和な日常が突然崩れる事態が発生したのです。

 

ニュースでも報じられるほどの不祥事が発生し、経営陣が一新。新社長の就任とともに、「役職定年制導入」が告知されたのです。その内容は衝撃的でした。

 

55歳以上の役職者は一律で役職を外れ、一般社員として勤務すること。役職手当は廃止され、賞与や退職金も新たな給与を基準に再計算される――。

 

さらに面談では、業務評価に基づく給与見直しも告げられました。年功で昇進した自覚はありました。目立った成果や他社でも通用するような専門スキルがあるわけではありません。結果として、佐野さんの年収は600万円まで減額されることになったのです。

 

60歳で役職定年を迎える覚悟はしていました。しかし、それが4年早まっただけで、60歳までに受け取れるはずだった給与は約1,700万円減少する見通し。さらに退職金まで目減りするとなれば、失う金額はトータルで2,000万円を超える可能性もあります。

 

「こんなこと、妻にどう言えばいい」

 

聞いた瞬間は顔面蒼白。数日間、夜も眠れない日々が続きました。

 

「夢であってくれ――」

 

しかし、現実が変わることはありません。佐野さんは、妻に打ち明けることを決意しました。

次ページ妻への告白…「怒りと悔しさはある。でも、後悔もある」

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