妻への告白…「怒りと悔しさはある。でも、後悔もある」
「会社で役職を外れることになった。給料も……かなり下がる」
「え? 急にどうしたの。どのくらい?」
「600万円。手取りはもっと下がる」
妻は言葉を失いました。住宅ローン、毎月の生活費、老後資金の積み立て。画面に並ぶ数字を見つめながら、妻は顔を上げました。
「これ、今までどおりの生活は無理だよね? 老後はどうなるのかな。退職金も、年金も少なくなるの?」
その一言に、佐野さんは返す言葉がありませんでした。
「ずっと真面目に働いてきたのに、最後にこんなことになるなんてな……」
怒りと悔しさが込み上げる一方で、佐野さんの胸には別の後悔もありました。
年功序列に安住し、自分の市場価値を高める努力をしてこなかったこと。他社で通用するスキルも人脈もないこと。
「60歳になったら収入が下がることは覚悟していました。でも、まさか前倒しになるなんて。家計への影響を計算したら、本当に震えました。65歳で引退なんて、とても無理ですよ。70歳まで働くことも覚悟しています」
