国外死亡なら国内財産のみが課税対象に
こうした批判を受け、その後、制度は再び見直されました。
現在では、外国人が日本を出国した後、日本国外で死亡した場合には、帰国からの経過年数にかかわらず、原則として日本国内にある財産のみが日本の相続税の対象となっています。
制度は改善されたものの、日本が一時期採用していた制度は、すでに日本を離れた外国人の国外財産にまで課税しようとするものでした。国際的に見ても、このような制度は極めて例外的だったといえるでしょう。
国際競争力の観点から問われる相続税制度
相続税は「富の再分配」という重要な役割を担う一方で、そのあり方を巡る議論は世界各国で続いています。
相続財産の多くは、財産を形成する過程で所得税や法人税、固定資産税など、さまざまな税負担を経ています。そのため、「すでに課税された財産に対し、死亡を契機として再び課税することは妥当なのか」という意見があることも事実です。
実際に、相続税や遺産税を廃止した国や、大幅に縮小した国も少なくありません。また、でも相続税の廃止や負担軽減を主張する政治家は少なくありません。
資産も人材も国境を越えて移動する時代です。どの国で暮らし、どの国で資産を保有するかは、税制も含めて判断されるようになっています。だからこそ、日本の相続税制度についても、税収の確保だけでなく、国際競争力や優秀な人材の受け入れという視点から、そのあり方を考える必要があるのではないでしょうか。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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