外国人にも及んだ日本の相続税――制度は見直されたものの、なお残る課題とは?【国際税理士が解説】

外国人にも及んだ日本の相続税――制度は見直されたものの、なお残る課題とは?【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の相続税は、最高税率55%という税率の高さだけでなく、かつては日本で暮らす外国人の海外財産にまで課税が及ぶ制度を採用していました。その結果、「日本で働くだけで母国の財産まで課税される」という状況が生まれ、海外から強い批判を受けました。その後、制度は見直されましたが、この一連の経緯は、日本の相続税制度の特徴を象徴する出来事といえるでしょう。『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』の著書がある奥村眞吾税理士が詳しく解説します。

国外死亡なら国内財産のみが課税対象に

こうした批判を受け、その後、制度は再び見直されました。

 

現在では、外国人が日本を出国した後、日本国外で死亡した場合には、帰国からの経過年数にかかわらず、原則として日本国内にある財産のみが日本の相続税の対象となっています。

 

制度は改善されたものの、日本が一時期採用していた制度は、すでに日本を離れた外国人の国外財産にまで課税しようとするものでした。国際的に見ても、このような制度は極めて例外的だったといえるでしょう。

国際競争力の観点から問われる相続税制度

相続税は「富の再分配」という重要な役割を担う一方で、そのあり方を巡る議論は世界各国で続いています。

 

相続財産の多くは、財産を形成する過程で所得税や法人税、固定資産税など、さまざまな税負担を経ています。そのため、「すでに課税された財産に対し、死亡を契機として再び課税することは妥当なのか」という意見があることも事実です。

 

実際に、相続税や遺産税を廃止した国や、大幅に縮小した国も少なくありません。また、でも相続税の廃止や負担軽減を主張する政治家は少なくありません。

 

資産も人材も国境を越えて移動する時代です。どの国で暮らし、どの国で資産を保有するかは、税制も含めて判断されるようになっています。だからこそ、日本の相続税制度についても、税収の確保だけでなく、国際競争力や優秀な人材の受け入れという視点から、そのあり方を考える必要があるのではないでしょうか。

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

ゴールドオンライン・エクスクルーシブ倶楽部が

主催する「資産家」のためのセミナー・イベント

 

【7月22日(水)】
資産規模5億円以上の方のための
「資産管理会社」のつくり方・つかい方
<第4回/金融資産編>

 

【7月23日(木)】
金融資産1億円以上の方のための
「本来あるべき資産運用」

 

【7月29日(水)】意外と多い!
「外野」が出てくる、「遺言」があっても揉める
“思い通りの相続”を実現したい人は知っておくべき
紛争事例から学ぶ、原因と事前対策


『5分でわかる!「資産管理会社」基本の「キ」』
セミナー資料抜粋版プレゼントキャンペーン
【8月9日(日)まで】

 

 

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録