外国人にも及んだ日本の相続税――制度は見直されたものの、なお残る課題とは?【国際税理士が解説】

外国人にも及んだ日本の相続税――制度は見直されたものの、なお残る課題とは?【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の相続税は、最高税率55%という税率の高さだけでなく、かつては日本で暮らす外国人の海外財産にまで課税が及ぶ制度を採用していました。その結果、「日本で働くだけで母国の財産まで課税される」という状況が生まれ、海外から強い批判を受けました。その後、制度は見直されましたが、この一連の経緯は、日本の相続税制度の特徴を象徴する出来事といえるでしょう。『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』の著書がある奥村眞吾税理士が詳しく解説します。

平成29年度税制改正で一時滞在者への課税を見直し

このような制度は、高度外国人材の受け入れを進める政府の方針とも矛盾すると指摘されました。

 

海外からは、「日本で一時的に働いただけで母国の財産まで課税されるのは行き過ぎではないか」という批判も少なくありませんでした。

 

こうした声を受け、平成29年度税制改正では、日本に一時的に滞在する外国人については、日本国内にある財産のみを相続税の対象とする見直しが行われました。優秀な人材を日本に呼び込む観点から、大きな前進と評価されました。

出国後も国外財産に課税する制度への批判

しかし、その一方で、同じ平成29年度改正では新たな制度も導入されました。

 

それは、日本に10年を超えて居住した外国人が日本を出国し、その後5年以内に死亡した場合には、日本国外にある財産についても日本の相続税を課すという仕組みです。

 

例えば、米国国籍の人が日本で10年以上勤務した後に帰国し、その5年以内に米国で亡くなれば、米国国内にある財産についても日本の相続税が課される可能性がありました。

 

すでに日本を離れ、自国で生活している外国人の財産にまで日本の課税権が及ぶことに対しては、海外から強い違和感が示されました。「日本を離れた後まで課税される国は珍しい」との批判も相次ぎました。

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