私有財産権と自由市場を重視した米国の原点
1776年は、米国独立宣言が採択された年であると同時に、アダム・スミスの『国富論(The Wealth of Nations)』が出版された年でもあります。
自由市場や私有財産権を重視する考え方は、その後の米国経済の発展にも大きな影響を与えました。建国の父たちのなかには、「革命の金融家」と呼ばれた銀行家ロバート・モリスのような富裕な実業家もいました。
また、ジェームズ・マディソンは政府による恣意的な財産権侵害を防ぐことを重視し、その考え方は合衆国憲法修正第5条の「接収条項(Takings Clause)」にも反映されたと考えられています。
そのため、米国では現在でも、財産そのものに課税する富裕税について、憲法上どのように位置付けるべきかという議論が続いています。
富裕税は人と資本を動かすのか
民主党のバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員は、超富裕層への課税強化を一貫して訴えてきました。ウォーレン氏は大統領選挙期間中、超富裕層が所有する美術品や株式、宝石、ヨットなども課税対象とする考えを示し、大きな議論を呼びました。
一方で、超富裕層ほど国や州をまたいで自由に居住地を選択できることも事実です。一般の家庭が仕事や住宅、子どもの教育などの事情から簡単に移住できないのに対し、莫大な資産を持つ人々は税負担の軽い地域へ移ることが可能です。
税率を引き上げれば税収が増えるとは限らず、税率そのものが人や資本の移動を促す要因になることを、カリフォルニア州は身をもって経験しているともいえます。
