超富裕層への5%課税は是か非か――建国250年を迎えた米国で揺れる富裕税論争【国際税理士が解説】

超富裕層への5%課税は是か非か――建国250年を迎えた米国で揺れる富裕税論争【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国建国250年という節目の年に、カリフォルニア州では超富裕層への「富裕税」をめぐる議論が大きな注目を集めています。純資産10億ドルを超える富裕層に対し、一度限り5%を課税する構想は、財政再建や所得格差の是正を目的とする一方で、人や資本の流出を招くとの懸念も指摘されています。富裕税をめぐる議論は、日本の税制や資産課税を考える上でも示唆に富んでいます。『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』の著書がある奥村眞吾税理士が詳しく解説します。

フランスの経験が示す富裕税の課題

富裕税をめぐる議論は、米国だけのものではありません。

 

フランスでは長年にわたり富裕税が導入されていましたが、多くの資産家が国外へ移住したことなどから制度の見直しが進み、2018年には対象が主に不動産資産へと限定されました。

 

格差是正という理念と、資本流出による経済への影響。そのバランスをどこで取るのかは、各国共通の課題となっています。

日本も問われる「人と資本に選ばれる国」の条件

この議論を見ていると、約30年前、当時の大蔵大臣だった渡辺美智雄氏の「金持ちを粗末に扱う国は、やがて滅びる」という言葉を思い出します。

 

この発言に賛否はあるでしょう。しかし、税制は税収を確保するためだけの制度ではありません。企業や人材、資本がどこで活動し、どこに投資するかという行動にも大きな影響を与えます。

 

日本でも今年の路線価は大きく上昇し、相続税や資産課税への関心は高まっています。海外移住や国際的な資産分散を検討する資産家も少しずつ増えています。日本は税制や言語、制度の違いから、米国ほど簡単に国外へ移住できる環境ではありません。しかし、不可能ではありません。

 

建国250年を迎えた米国で交わされている富裕税論争は、「どのような税制が公平なのか」という問いだけでなく、「人と資本に選ばれる国とはどのような国なのか」という、より本質的な問いを私たちに投げかけています。

 

日本もまた、この議論を対岸の火事として眺めるのではなく、自国の税制と国際競争力を改めて考える時期に来ているのではないでしょうか。

 

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

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