息子の逆鱗…「それ、俺が送った金じゃん」
百貨店で見つけたのは、ブランドものの可愛らしい洋服。文子さんは奮発して購入し、お祝いの手紙とともに長男の家へ送りました。
孫が可愛い服を身に着けた姿を想像して、胸を躍らせていた文子さん。しかし、届いたのは正也さんからの、疲弊しきったようなトーンの電話でした。
「母さん……またこんな服送ってきて。誕生日やクリスマスのたびに何かくれるけど、いらないって言ったろ。それに、これ一段と高そうだけど」
「でも、可愛い孫の誕生日だもの。それくらいのことしてあげたいのよ」
どこかお金に余裕がある人のような口ぶりに、電話の向こうで正也さんが深くため息をつく気配がしました。
「母さん、いい加減にしてくれよ。……それ、俺が仕送りした金じゃん」
正也さんの声に、文子さんはハッと息を呑みました。
「うちだって毎月カツカツなんだ。今月なんて車の車検代と子どもの医療費が重なって、食費を削って作った6万円なんだよ。こっちの生活を犠牲にして送ってるのに……それをデパートの服に化けさせる余裕があるなら、もう仕送りなんて必要ないよな?」
正也さんの怒りは、溜め込んできた限界のサインだったのです。
「もう、うちの奥さんにも無理はさせられない。仕送りは金輪際しないから、自分でなんとかしてよ」
一方的に電話を切られた文子さんは、受話器を持ったまま震えるしかありませんでした。
