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父が溶かした退職金【上巻】・【下巻】
小林篤典(著)+ゴールドオンライン(編集)
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「君たちも会社を作って、私みたいな金持ちになりなさい!」
ラスベガスなどのカジノやパチンコ店などへ行くと、店内にいる客の多くはいい笑顔を浮かべています。儲かって、懐が温まっているのでしょう。そんな様子を見て「この店は客に優しいに違いない。自分も儲けられそうだ」と思う人がいるでしょうが、ちょっと待ちましょう。本当に客に優しい店があるとしたら、倒産しているはずなので、何か理由があるはずです。
余談ですが、色々な場面で「この店はなぜ倒産しないのだろう」などと考えてみると、面白いことに気づけるかもしれません。たとえば無料で保険の相談に乗ってくれる会社は、顧客が保険に加入するたびに保険会社から謝礼をもらっているのでしょうね。
じつは、朝からパチンコ店に来た1,000人の客のうち、990人は負けて帰ってしまったので、たまたま儲かっている10人だけが今も店に残っているのです。そんな店で筆者が遊びはじめても、991人目の負け客になるだけであって、11人目の勝ち客になれる可能性は小さいでしょう。
カジノやパチンコで少々負けるくらいならマシですが、同様の錯覚で人生を間違えないようにしたいものです。
学生に向かって青年実業家が「サラリーマン(男女を問わず、公務員等を含む。以下同様)なんてつまらない。君たちも会社を作って、私みたいな金持ちになりなさい!」と演説することがあります。それを聞いた学生が何も考えずに起業するのは、大変危険なことです。世の中には起業して失敗して苦労している人も大勢いるのですが、そういう人たちは学生に向かって「起業なんかするな」と演説することはないので、学生のなかには「起業すれば金持ちになれる」と誤解している人も多そうだからです。
筆者は、「起業して失敗した人も大勢いることをしっかり認識したうえで、それでも夢を追いたい」というのであれば応援します。もっとも実際には、自分の能力を過大評価して無謀な夢を追いかけている若者や、就職活動をサボりたいから「起業したい」と言っているだけの学生もいるでしょうから、そのあたりの見極めは難しいところですが。
