(※写真はイメージです/PIXTA)

満面の笑みを浮かべた客であふれるギャンブル場、熱心に成功体験を語り若者を起業にいざなう実業家。ジョインしたら、自分にもチャンスが巡ってくるかも…。思わずそんな気持ちにさせられますが、世の中の出来事は、正面からばかりでなく、斜めや後ろから見ないと、本質が見えてこないことも多いようです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

満足している人は黙っている

講義の最中に学生が「寒いからクーラーを切ってほしい」と申し出たとします。言われた通りにクーラーを切ると、大勢からブーイングされるかもしれません。今が適温だと思っている多くの学生は、わざわざ「クーラーを切らないでください」とは言わずに黙っているので、そうした学生はクーラーが切られた途端に文句を言うのです。教室内であれば、クーラーを切る前に「皆さんも寒いですか?」と聞けばよいのですが、そうでない場合も多いので、要注意です。

 

昔、経済に詳しくない政治家のところに「金利生活者」が陳情に来ました。「金利が低すぎて、我々金利生活者は困っている。金利を上げてほしい」と言うのです。それを聞いた政治家は「金利を上げなければならない」と演説したのです。

 

金利を決めるのは日銀総裁であって政治家ではないのですが、そのことはさておき、翌日、選挙区の中小企業が怒鳴り込んで来たそうです。「我々は低金利だから生き延びているが、金利が上がったら倒産するしかない」と言うのです。

 

低金利に不満を持つ人に会ったら、「低金利に満足しているから黙っているという人がいるのではないか」と考えてみることが必要なのですね。言うは易く行うは難し、ですが。

お客様のクレームを聞きすぎるのも危険

企業の中には、客からのクレームを製品開発に活かしているところも多いようです。クレームに腹を立てるのではなく、アドバイスだと捉えて活用する姿勢は立派なものですが、これも注意深く対応することが必要です。

 

たとえば「お前の製品を買ったら、すぐ壊れた」というクレームに対応すると、製品が重くなったりデザインが悪くなったりしかねません。そうなると、むしろ売れ行きは落ちるかもしれませんが、その理由を知るのは容易ではありません。「お前の製品は重くてデザインが悪いから買わなかったぞ」とクレームしてくる客はおらず、そう思った客は黙ってライバル社の製品を買うだけですから。本当ならば、ライバル社の売り場へ行き、買った客に「どうして我が社の製品ではなくライバル社の製品を買ったのですか」と聞くべきなのでしょうが、それは容易ではないでしょうから、想像力を豊かにするしかないのかもしれませんね。

 

政府はインバウンドを増やそうとしています。そのためには、日本に来た外国人に日本のよいところと悪いところを聞くことも重要ですが、日本に来なかった外国人に「なぜ日本ではなく、この国を選んだのですか」と聞いてみたいところです。これも容易ではないでしょうから、想像するしかないのでしょうが。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

 

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