(※写真はイメージです/PIXTA)

日銀の政策転換により金利上昇リスクが意識される昨今。不動産投資への意欲は冷え込んでいると思いきや、実は真逆のデータが示されています。国土交通省の最新調査で、賃貸住宅向け融資(アパートローン)の新規貸出額が前年度比8.6%増の約3.8兆円に達したことが判明しました。盛り上がる不動産投資市場の最前線に迫ります。

新規貸出は急増なのに「貸出残高」は減少する謎

今回の調査結果には、少し不思議なデータも含まれています。

 

新規貸出額が急増し、アパートローン市場全体が大きく盛り上がっている一方で、令和6年度末時点の賃貸住宅向け「貸出残高」に目を向けると、36兆7,063億円にとどまっています。令和5年度末と比べて470億円減少しているのです。経年集計で見ても対前年度比0.2%減と、ごくわずかですがマイナスに転じる結果となりました。

 

新規に3.8兆円もの資金を貸し出しているのに、なぜ全体の残高のパイは縮むのでしょうか。

 

その答えは極めてシンプル。新規に貸し出された巨額のマネーを上回るスピードで、既存のアパートローンの返済が進んでいるからです。毎月の定例返済が滞りなく行われていることは言うまでもありません。今後の金利上昇リスクを見越した積極的な繰り上げ返済や、不動産価格が高騰しているタイミングを狙った物件売却によるローンの一括完済が、市場のあちこちで活発に行われている可能性が高いと考えられます。

 

不動産価格の高止まりを背景に、含み益が出た絶好のタイミングで物件を利益確定する投資家は少なくありません。売却によって手元に残った潤沢なキャッシュが次の物件購入の自己資金となり、そこに新たなアパートローンが組み合わされていく。市場全体で古い負債が清算され、新たな投資へと資金が循環する健全な新陳代謝が起きている証拠とも解釈できます。

 

ちなみに、貸出残高の内訳を見ても圧倒的なトップは地方銀行(12兆466億円)です。都市銀行・信託銀行等(8兆1,463億円)、信用金庫(7兆2,979億円)、農協(4兆6,397億円)が巨大な残高を抱えてそれに続いています。これら主要プレイヤーの今後の動向が、不動産投資市場の行方を左右することは間違いありません。

データが証明する「融資の扉は開かれている」という事実

SNSやインターネット上には、不動産投資に関するネガティブなニュースや「今は融資が厳しい」といった噂が絶えません。ただ、国土交通省が発表した公式データは、金融機関が賃貸住宅向け融資に積極的であることを明確な数字で証明しています。

 

年間3.8兆円もの新規マネーが途切れることなく供給される市場は、決して閉鎖的ではありません。特に地方銀行や信用金庫は、融資目標を達成するために優良な顧客と堅実な事業計画を常に探しています。

 

投資家に今求められているのは、最悪のシナリオを想定し、緻密な事業計画を練り上げること。そして市場の大きな波に乗るために不可欠なのは、不確かな噂に惑わされず、客観的で信頼できるデータに基づいて行動すること。アパートローン市場は今、かつてないほどの巨大なマネーが交錯する活気を見せています。この大きな好機をどう活かし、資産形成を加速させるか。それは他ならぬ投資家一人ひとりの決断に委ねられています。

 

 

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