市場規模3兆円超え…2030年には5兆円産業に
中古品を避けることは、すでに過去のものだ。今やリユースは、モノを大切にする時代の本流に変わりつつある。特に2020年代に入ってから、個人消費の合理化やSDGsの浸透、原材料費の高騰といった社会の変化が追い風となり、中古市場の需要は右肩上がりだ。
リユース経済新聞によると、2023年のリユース市場規模は3兆1227億円で、14年連続で拡大しているという。2030年までには4兆円規模に達するとの見方も(リユース経済新聞、2024年9月22日、「リユース業界の市場規模推計2024(2023年版)」、URL: https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_10109.php)。そのような成長産業のなかで注目を集めているのが、フランチャイズモデルによるリユース事業の広がりだ。
全国的に見ると、駅前や商店街の一角に、金やブランドバッグ、切手などの買取を専門とする小型店が急増している。いわゆる「総合買取店」と呼ばれる業態で、10坪にも満たないスペースで営業でき、在庫リスクも少ない。接客中心のビジネスモデルで、現金回収も早い。こうした条件が、脱サラ組やセカンドキャリア層に強く支持されている。
40代脱サラオーナー…未経験から月商1,000万円超へ
東京都杉並区で店舗を構える男性オーナーは(仮名・42歳)は、未経験からフランチャイズ参入して1年。前職はメーカーの営業職。小売や買取の経験はゼロだったが、研修と本部支援に支えられ、3カ月目には単月黒字を達成したという。現在、月商は約1,100万円に到達。「最初は不安だらけだったが、査定は専用システムと本部のオンラインサポートでカバーできる。接客が得意なら、むしろ未経験のほうが固定観念がなくて伸びるかもしれない」と語る。
このビジネスの特徴は、取扱品目の幅広さにある。金・プラチナといった相場連動品から、シャネルやルイ・ヴィトンのバッグ、古いカメラ、未使用のはがき、果ては古銭まで。ほぼ何でも値が付くため、客層も高齢者から若者までと幅広い。ある店舗では、毎月700件以上の査定依頼が寄せられており、リピート率も高いという。
広いスペースを必要としないため、出店コストも比較的抑えられる。本部が内装・什器・システムをパッケージで提供するため、オーナーは接客と集客に集中できる。加えて、在庫はすぐに本部に送るか、提携業者へ売却する仕組みとなっており、商品管理の負担が小さい点も特長だ。
一方で、成否を分けるのは「地域との関係性」だ。買取ビジネスは信頼が命であり、リピーターづくりが重要になる。中には、店舗前の掃除や地域の行事参加などを通じて「顔が見える経営」を心がけるオーナーも少なくない。
また、近年は宅配買取やLINE査定といったオンライン対応も求められており、リアルとデジタルの両輪で顧客接点を増やす工夫が必要だ。本部も自社開発の業務アプリを導入し、査定履歴や顧客データを店舗と共有する体制を整えている。
一見すると地味な商売に見えるが、実は「薄利多売」ではない。1件ごとの利益率は高く、買取価格に査定力が反映される仕組みゆえ、オーナーの力量次第で利益が大きく変わる。「仕入れ=買取」なので、在庫回転を気にせず、ひたすら仕入れに専念できるのも強みである。
このように、リユースビジネスとフランチャイズの相性は非常に良い。低リスク・高回収・社会性のあるモデルとして、今後さらに注目を集めるだろう。
