ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
「すでに資産を持つ人」と「これから資産を築く人」の戦略の違い
日銀の金融政策が変わるかもしれないという見方が強まり、日本の不動産投資市場は大きな転換期を迎えています。長い間続いた「低金利でお金が余る」状況下では、どんな物件でも利益を出しやすかったのですが、今は金利が上がり、建築費も高騰しています。投資家の戦略は、これまで以上に複雑になっているのです。
LIFULLグループの健美家株式会社が行った『不動産投資家の投資戦略に関する意識調査』の結果からは、年収によって投資家の「生き残り戦略」がはっきりと分かれる様子が見えてきました。同じ市場にいても、年収1,000万円未満の人と1,500万円以上の人とでは、見ているものも、やるべきこともまったく違います。
まずは、投資家全体が共通して不安に思っていることから見ていきましょう。調査によると、不動産投資で今心配なこととして、半数以上の人が「金利の上昇(54.9%)」と「建築費・資材費の高騰(50.0%)」を挙げています。これは、お金を借りるコストと、物件の取得・維持にかかるコストが同時に上がっていることを意味します。次に多かったのが「利回りの低下(49.7%)」と「物件価格の高騰(46.9%)」で、以前のように「買えば儲かる」という考えは通用しなくなってきているようです。
ただ、この不安の中身を詳しく見ていくと、年収によって「つらさ」の感じ方が違うことがわかります。ここが今回の調査で一番興味深いポイントです。
年収1,000万円未満、特に500万円未満の人が一番心配しているのは、金利ではなく「修繕費・管理費の高騰」で、その割合は60.8%にも達しました。一方、「金利の上昇」を挙げたのは37.3%にとどまり、平均よりもかなり低くなっています。 これは、最初からあまり多額の借入をしていない、あるいは借りたくても借りられないという事情に加え、普段の生活費に余裕がないことが理由だと考えられます。ボイラーが壊れたり、外壁を塗り直したりといった急な出費は家計に直接響きますし、インフレで材料費が上がると死活問題です。 また、年収700万〜1,000万円未満の人では「物件価格の高騰」を心配する声が60.0%で最多となりました。これから資産を増やしたいと考えている人にとって、価格が高いままではなかなか市場に参入できないのです。
一方、年収1,500万円以上の、いわゆる「お金持ち」に近い投資家の悩みは少し違います。年収1,500万〜3,000万円未満の人では「金利の上昇」を心配する声が73.8%、「利回りの低下」が62.3%と非常に高くなっています。彼らは多額の融資を受けて投資をしていることが多いため、わずかな金利上昇でも返済額が増え、利益が出にくくなることを敏感に感じ取っているのです。 さらに、年収3,000万円以上の人になると、金利だけでなく建築費の高騰を心配する人も6割に達し、大規模な修繕や新築物件にかかるコストにも気を配っていることがわかります。
