逆風を跳ね返すアパートローン市場の驚異的な活況
日本経済は長らく続いた金融緩和の出口へと向かい始めています。世間では金利のある世界への転換が声高に叫ばれ、住宅ローンの金利動向に一喜一憂する声が溢れています。これからアパート経営や不動産投資を始めようとする人々にとって、決して楽観視できる環境ではないはずです。借入コストの上昇は、そのまま収益の圧迫に直結するからです。
それにもかかわらず、賃貸住宅の建設や購入に向けたマネーの流入は、減速するどころか加速しています。
国土交通省が発表した『令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書』によると、令和6年度の賃貸住宅向け新規貸出額(アパートローン)は3兆8,184億円。これは前年度実績を3,647億円も上回る途方もない規模です。継続してデータを提出している金融機関のみを抽出した経年集計で見ても、対前年度比で8.6%増という高い伸び率を鮮明に記録しています。
約3.8兆円という莫大な資金が、たった1年の間に新たなアパートの建築や中古収益物件の購入資金として貸し出されました。投資家たちの旺盛な投資意欲と、それに応える金融機関の積極的な融資姿勢がはっきりと見て取れます。金利先高観という心理的な逆風をものともせず、優良な投資機会を逃すまいとするマネーの動きは活発化の一途を辿っているのです。
巨大マネーの供給源。主役は「地方銀行」と「信用金庫」
これほどの大金は一体どこから供給されているのでしょうか。
令和6年度の新規貸出額において、トップを独走したのは地方銀行。その額は実に1兆1,839億円に達します。次いで多いのが信用金庫の9,372億円。メガバンクなどが含まれる都市銀行・信託銀行等(7,700億円)を大きく引き離す結果となりました。
地方銀行と信用金庫の貸出額を合計するだけで2兆円を軽々と超え、全体の過半数を占めています。この事実はこれからの不動産投資戦略を練るうえで非常に重要です。
アパート経営は本質的に地域密着型のビジネスです。物件の周辺環境、ミクロな賃貸需要の変化、将来的な人口動態の予測。これらを正確に見極め、事業の妥当性を判断するには、その土地を知り尽くした金融機関の目利きが欠かせません。地場に深く根を張る地方銀行や信用金庫が、地元の地主による土地活用や、エリアに精通した投資家による収益物件購入を強力に後押ししている実態が浮き彫りになっています。
もちろん、他の金融機関も農協(3,673億円)や第二地方銀行(1,674億円)、モーゲージバンク等(1,442億円)と、それぞれの強みを活かして一定の存在感を示しています。資金調達を検討する投資家にとっては、自身の属性やビジネスモデルに合わせて多様な金融機関を比較検討できる、極めて恵まれた環境が整っていると言えるでしょう。

