夫は役職定年、妻は昇進…収入が逆転した日
「あの時、彼の器の小ささがはっきりとわかったんです」
そう振り返るのは、メーカー勤務の真紀さん(仮名・46歳)。夫の武さん(仮名・55歳)と小学6年生の息子と3人暮らしをしています。
武さんの年収はピーク時に約1,200万円、一方、真紀さんは時短勤務で約480万円(フルタイムの約75%)。家計の大黒柱は夫という構図でした。
しかし、状況は変わります。武さんは55歳の役職定年とともに、年収は約850万円に。一方で、真紀さんは時短勤務からフルタイム勤務へ復帰。ほどなくして部署のマネージャーに抜擢され、年収は約1,000万円へ上昇しました。夫婦の収入は逆転したのです。
真紀さんは昇進の知らせを受けた日、帰宅途中にワインを買いました。
「夫婦でお祝いしようと思ったんです。世帯年収も増えますし、これからも協力していきたかったから」
ところが、武さんの反応は薄いものでした。
「……そりゃよかったな。まあ、家のことだけは、ちゃんとやってくれよな」
苦笑いを浮かべながら、こう言っただけ。おめでとうの言葉は、ありませんでした。
多忙になった妻に協力しようとしない夫
昇進を喜んでくれない夫に、真紀さんは肩を落としました。しかし、違和感はさらに膨らんでいくことになります。
役職がつき、多忙になった真紀さん。しかし、武さんは「家のことは妻」「仕事を家庭に持ち込むな」という態度。真紀さんが部下の育成に悩み相談しても、「そのポジション向いてないんじゃないのか」。出張が決まれば「俺に家のことをやらせるのか? どうせ今じゃ俺のほうが稼ぎが少ないもんな。悪かったな」 と嫌味を言う。
真紀さんは気づきました。夫は「自分が上」という立ち位置が奪われたことが、許せないのだと。「男が一家を支えるべき」「夫のほうが稼ぐべき」 という価値観が、夫の中に強く残っていたのでしょう。
