「家族だからこそ、曖昧にすると壊れる」…3人の話し合い
さらに問題となったのは、家事の負担でした。食事の支度、洗濯、風呂掃除。美智子さんは、いつの間にか成人した娘の身の回りのことまで担うようになっていました。
「子育てがやり直しになったようでした」
ある夜、美智子さんが疲れて食事の準備を休むと、真希さんは言いました。
「じゃあ、今日は何食べればいいの?」
その一言で、美智子さんの中にたまっていたものがあふれました。
「どうして我が家にいてこんなに苦しまなきゃならないの…」
和夫さんも、そこで初めて深刻さに気づきました。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、65歳以上の者のいる世帯のうち、夫婦のみの世帯と単独世帯がそれぞれ約3割を占めています。高齢期の世帯の形は多様化しており、親子同居も「昔の当たり前」とは違う条件で考える必要があります。
その後、夫婦は真希さんと話し合いました。
生活費として毎月一定額を入れること。家事を分担すること。再就職活動の期限を決めること。難しい場合は、自治体の就労相談や住居支援も一緒に調べること。
最初、真希さんは反発しました。
「家族なのに、そんな契約みたいなことするの?」
和夫さんは静かに言いました。
「家族だからこそ、曖昧にすると壊れるんだよ」
再同居は、親子の助け合いになることもあります。しかし、生活費や役割、期限を決めずに始めると、親の老後資金も、子どもの自立も、少しずつ崩れていきます。
大切なのは、「家族だから何とかなる」と考えるのではなく、お互いが無理なく暮らせるルールを最初に共有することです。親の安心と子どもの再出発、そのどちらも守るためには、遠慮ではなく対話が欠かせないのかもしれません。
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