「このまま老後を迎えるの?」…専業主婦だった妻の本音
和子さん(仮名・63歳)は、35年間連れ添った夫・正志さん(仮名・65歳)と離婚しました。
和子さんは結婚後、出産を機に会社を退職。その後は専業主婦として家事と育児を担ってきました。正志さんは会社員として働き続け、定年まで勤め上げました。
「夫が外で働き、私が家を守る。それが当たり前だと思っていました」
しかし、子どもが独立し、夫が定年を迎えるころ、和子さんの中に違和感が強くなっていきます。
夫は悪い人ではありませんでした。ただ、家のことはほとんど和子さん任せ。退職後も、「昼ごはんは?」「今日どこ行くの?」と当然のように聞いてきます。
和子さんは、ある日ふと思ったといいます。
「この先も、私はずっと夫の世話をするために生きるのだろうか」
離婚を考え始めたとき、最も不安だったのはお金でした。
自分名義の預貯金は多くなく、老後の年金も十分とはいえません。正志さんの厚生年金に比べれば、和子さん自身の年金額は限られていました。
そこで弁護士に相談し、財産分与とともに年金分割についても確認しました。
日本年金機構によると、離婚時の年金分割は、婚姻期間中の厚生年金記録を当事者間で分割する制度です。合意分割では当事者双方の合意または裁判手続きにより按分割合を定め、3号分割では平成20年4月1日以後の第3号被保険者期間について、相手方の厚生年金記録を2分の1ずつ分割できます。これは「元夫の年金を半分もらう」制度ではなく、婚姻期間中の厚生年金記録を分ける仕組みです。
和子さんは、制度を知って少しだけ前を向けたといいます。
「自分には何もないと思っていました。でも、家庭を支えてきた時間も、老後の生活を考えるうえで無関係ではないんだと感じました」
