(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の住まいとして、持ち家は大きな安心材料と考えられがちです。住宅ローンを完済していれば、家賃負担はありません。しかしマンションの場合、管理費や修繕積立金は住み続ける限り発生します。築年数が進めば、大規模修繕や設備更新に伴い、思わぬ負担が生じることもあります。

「家はあっても安心できない」…老後を揺るがす住まいの維持費

久美子さんがつらかったのは、修繕費そのものだけではありませんでした。

 

これまで夫婦は、旅行や外食を控えながら、老後資金を大切に守ってきました。貯金2,200万円は、医療費や介護費、将来の生活費に備えるためのものでした。

 

しかし、マンションの修繕費は先送りできません。

 

「払わないわけにはいかない。でも、払えば老後資金が減っていく」

 

さらに、管理費や修繕積立金は今後も下がる見込みがありませんでした。むしろ、建物が古くなるほど、追加の修繕や設備更新が必要になる可能性があります。

 

夫婦は初めて、住み替えも含めて考えるようになりました。

 

ただ、築古マンションを売却しても、次の住まいを確保するには費用がかかります。賃貸に移れば家賃負担が発生し、別のマンションを買えばまた管理費や修繕積立金がかかる。

 

「今の家に住み続けるのも大変。でも、出ていくのも簡単ではない」

 

その後、夫婦は家計を見直しました。毎月の支出を洗い出し、修繕積立金の増額分をどこから捻出するのか、貯金をどの程度取り崩すのかを話し合いました。

 

雅彦さんも、ようやく通帳を一緒に見るようになりました。

 

「今まで、住まいのお金は妻任せでした。でも、これは夫婦で考えないといけない問題だと思いました」

 

持ち家は、老後の安心につながる大切な資産です。

 

しかし、住まいは所有しているだけで維持できるものではありません。固定資産税、管理費、修繕積立金、設備交換。年齢を重ねても、住まいにかかるお金は続いていきます。

 

「ローンが終わったから安心」

 

そう思っていた夫婦にとって、通帳に記された引き落とし額は、老後の前提を静かに揺るがす数字でした。

 

家はある。けれど、住み続けるためのお金も必要になる。その当たり前の現実に気づいたとき、久美子さんは初めて、老後資金の不安が“生活費”だけでは終わらないことを実感したのです。

 

 

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