「一生安心、とは思っていません」…家賃2.3万円生活の現実
川瀬さんは、「完全なFIRE」をしたわけではないと言います。現在も、在宅で月数万円ほどの事務サポートやライティングの仕事を受けているのです。
「働き方を自分で選びたかったんです」
会社員時代のように毎日決まった時間に出社する必要はありません。体調が悪い日は休み、繁忙期だけ少し多めに働く。そんな暮らしが、川瀬さんには合っていました。
一方で、不安がないわけではありません。
物価が上がれば生活費も増えます。資産運用が想定通りに進む保証もありません。病気になれば、働ける時間は限られます。
「3,000万円あるから一生安心、とは全然思っていません」
金融庁は、資産形成において長期・積立・分散の重要性を示していますが、将来の市場環境や生活費を完全に予測することはできません。若い年代で仕事量を減らす場合、医療費や住居、将来の年金額も含めて慎重に考える必要があります。
川瀬さんが地方移住後に意外だったのは、孤独感でした。都内では人間関係に疲れていたのに、地方では一日誰とも話さない日が増えました。
「最初は静かで最高だと思いました。でも、静かすぎる日もあるんです」
そのため、今は地域の朝市を手伝ったり、週に一度だけカフェで短時間働いたりしています。収入のためだけではなく、人と話す時間を持つためです。
「少し働くことで、生活にリズムができました」
川瀬さんは、FIREを“ゴール”とは考えていません。大切なのは、会社を辞めることでも、働かないことでもなく、自分が壊れない暮らし方を選べることだといいます。
「年収300万円だった自分でも、暮らし方を小さくすれば、選択肢は作れました」
もちろん、誰にでも同じ方法が合うわけではありません。
地方では車が必要な地域もあり、医療機関や人間関係の不安もあります。家賃が安いからといって、すべてが楽になるわけではありません。
それでも川瀬さんにとって、家賃2万3,000円の部屋で始めた暮らしは、人生を立て直すための大きな転機でした。
「少ないお金で満足できる自分を知れたことが、一番の収穫だったと思います」
大きく稼ぐことだけが、自由への道ではありません。
何にお金を使い、何を手放し、どこで暮らすのか。川瀬さんの選んだ生活は、年収や資産額だけでは測れない“自分に合った幸せ”を探す過程だったのです。
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