身に覚えのない請求…大金とともに失った「大切なもの」
異変に気付いたのは、翌月のこと。クレジットカードの利用明細を開いた義郎さんは、ありえない金額に唖然としました。
そこには、身に覚えのないデジタルコンテンツ利用料の請求、「54万3,250円」の記載。調べるうちに、それがゲーム課金の請求だということがわかりました。
一度クレジットカード情報を登録すると、設定によっては、その後も再認証なしで購入できる場合があります。圭くんはその状態になっていたスマートフォンで、休みの間に何度も課金を繰り返していたのです。
それを知った義郎さんの脳裏に、強烈な葛藤が渦巻きました。
「子どもだから『お金の価値がわからなかった』と思いたい。でも、『おじいちゃんならバレない、あるいは、バレても許してくれる』と思っていたんじゃないか? これが悪いことだと、本当にわかっていないでやったんだろうか」
娘夫婦に連絡を入れると、すぐに「本当に申し訳ない。全額、責任を持ってこちらで弁済する。本人にも大説教をして、近いうちに謝罪に行かせる」と、沈痛な声でお詫びの言葉が返ってきました。
しかし、義郎さんはとっさにこう答えていました。
「もう来なくていい。しばらく顔を合わせたくないから」
義郎さんに残ったのは、金額以上の心の傷でした。
「お金は、娘夫婦が返してくれるでしょう。でもね、一番悲しいのは50万円が消えたことじゃないんです。どんなに謝られても、もう前のように、純粋に『可愛い』と思うことはできない。それが悲しいんです」

