(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が年金だけで暮らすのは、簡単ではありません。子ども世代が仕送りをして生活を支えるケースもあります。しかし、支援額が大きくなっても「足りない」と言われ続ける場合、そこには家計の見えにくい問題が隠れていることがあります。親を支えたい気持ちと、不信感の間で揺れる家族は少なくありません。

「月27万円あるはずなのに」…母からの催促に募った違和感

会社員として働く浩一さん(仮名・56歳)は、地方で一人暮らしをする母・美代さん(仮名・80歳)へ、毎月17万円を仕送りしていました。

 

美代さんの年金は月10万円ほど。夫を亡くしてからは築古の持ち家で暮らしており、家賃負担はありません。

 

それでも、光熱費や食費、通院費、家の修繕費を考えると、年金だけでは心配でした。浩一さんは数年前から仕送りを始め、少しずつ額を増やしていったといいます。

 

「最初は月5万円でした。それが10万円になり、気づけば17万円になっていました」

 

年金と仕送りを合わせれば、月27万円ほどになります。

 

浩一さん自身にも住宅ローンと大学生の子どもの教育費があり、余裕があるわけではありません。それでも、「母を困らせるわけにはいかない」と支援を続けていました。

 

ところが、最近になって美代さんからの催促が増えます。

 

「今月、少し足りないの」

「病院代が重なって」

「電気代が高くてね」

 

もちろん、高齢者の一人暮らしにお金がかかることは分かっています。

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得が月11万8,465円である一方、消費支出は月14万8,445円となっており、平均では毎月赤字です。年金月10万円だけで暮らすことは、かなり厳しい水準といえます。

 

しかし、仕送り込みで月27万円となると、話は変わります。

 

「計算が合わないんです。母が贅沢しているようにも見えないのに、なぜ毎月足りないのか分からなかった」

 

電話では埒が明かないと感じた浩一さんは、週末に帰省することにしました。母には「通院の付き添いも兼ねて行く」と伝えましたが、本当の目的は家計を確認することでした。

 

実家に着くと、部屋は質素なままでした。高価な家具も、通販で買った大量の商品もありません。冷蔵庫には安い食材が少し入っているだけです。

 

「母が浪費しているわけではない」

 

浩一さんは、ますます分からなくなりました。

 

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